ストーブを買ったら灯油は買えない
生活保護での必死のやりくり

生活困窮者たちを数多く支援してきた北海道生活と健康を守る会連合会(道生連)
Photo by Y.M.

 寒冷地で毎日毎冬酷使される暖房機器は、いつかは寿命を迎える。

「FF式ファンヒーターで、だいたい7年か8年でダメになります」(佐藤さん)

 買い替えには7~8万円が必要だ。また、3年に1回はストーブのオーバーホール作業を依頼しないと、不完全燃焼などのトラブルや事故の原因になる。オーバーホールには2万円前後が必要だ。素人が「DIY」するわけにはいかない。

 暖房機器を新規購入するための費用については、今年から生活保護の「家具什器費」の中にメニューが用意された。しかし利用できる場面は、生活保護開始時・退院時など、極めて限定されている。同じ住居に住み続けている場合には、買い替え費用は支給されない。もちろん、オーバーホールの費用も考慮されていない。

札幌市内、昭和50年前後築と思われる民家の玄関先に設置されていた灯油用ドラム。暖房なしには生存が成り立たない
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「それも最初、ストーブ代は2万円までだったんです。『それでは買えない』と交渉して5万円になりました。それでも買えませんが」(佐藤さん)

 では、ストーブが壊れたらどうするのだろうか?

「社協で生活福祉基金の『福祉費』の貸付を受けるか、冬季加算の給付を3ヵ月分前倒しで受けるか、ですね。預貯金があれば、そこから買うこともできますが、単身だと預貯金を作るところまではいけない人が多いです。預貯金があっても、中古品店で買うとか」(佐藤さん)

 中古を購入すれば、購入時のコストは抑えられるが、次の買い替えまでの期間が短くなる。ちなみに、冬季加算の「前倒し」は、一冬分の暖房に使用する石炭をまとめて買っていた時代の名残で認められているそうだ。一冬分を一括で受け取ることもできる。

 さらに、水道管の凍結に備えて「水を落とす(水道管の中に水がない状態にする)」作業が必要だ。すべての蛇口、浴室の風呂釜・台所の湯沸し器など、水道水が供給されているすべての場所の「水を落とす」必要がある。失敗した場合には、復旧に費用が必要だ(凍結した水道管の中の氷を融かす作業で1ヵ所あたり1万5000円程度)。