一言で言えば……慢心していた

  後悔していることを聞くと「慢心していた」「企業のことを調べなかった、明らかに準備不足だった」「自分の経験が志望企業の業務内容と合っていないことに気づいていなかった」と続く。

  先に述べたように、失敗した学生たちは皆、人柄もよく、スペックも高い。「全国上位」「留学」「名門ゼミのゼミ長」「TOEIC®テスト900点」など、堂々と語れることのある学生たちだ。自分でも「自分はイケている」と思っていた。だからこそ、8月に大手や名門企業を受けて、どこかしら内定すると信じていた。「売り手市場」だから。しかし、その考えが失敗の原因となってしまったのだ。

早めに本選考をスタートさせれば、挽回できる

「自分のヤリタイコトは大手以外でも実現できる」と考えた学生は、12月頃から選考を受け始める。エントリーシートなどの書類作成や実際の面接を通して、自分の考えの浅さや曖昧な部分に気づかされる。

  楽勝だと思っていた中小やベンチャー企業から、いくつもの「不採用の通知」を受け取ってしまう。そこではじめて、「今の自分に足りないもの」だったり、あまりにも準備不足だったことを知り、それらと真剣に向き合う機会を得るのだ。こうした失敗経験があったからこそ、自己を成長させようと努力する。

  就活の長期化により、選考時期が分散した。外資系、ベンチャー、中小などの選考と大手の選考との間に一定の期間がある。この間に、自分の課題を克服し、軌道修正しながら選考を受けることができる。たとえ外資系やベンチャーの選考に失敗したとしても、大手企業の選考までに挽回するチャンスがあるのだ。

  具体的には、次のようなことが可能だ。

・自己分析を行い、望む仕事や業界、企業を明確にする
OBOG訪問などで、リアルな企業研究と自身の志望動機などを深めてい
筆記試験対策を行う
TOEIC®のスコアがいまひとつな人は、短期集中で勉強する
実績や語れることが足りないと思った人は、すでにがんばっているゼミやサークル、アルバイト、学生団体、部活、試験勉強、ボランティアなどにさらに力を入れる

  1月に選考に落ちて、「しまった!」とあせって動いても、大手企業の選考まで半年以上ある。できる準備はいくらでもあるのだ。

  また、自分のヤリタイコトと照らし合わせながら企業研究をすると、志望業界や企業を絞り込むどころか、むしろもっと広い視点で選択肢を増やすこともできる。可能性の幅が広がるというわけだ。