古いIT企業同士が
生き残りに賭ける
デルがEMCを670億ドルで買収するという、これまでにない大型企業同士の合体は、古いIT企業の生き残りを賭けた動きで、この業界の急速な変化を思わせるものだ。
デルは、コンシューマー向けのパーソナルコンピュータを起源としながら、そのビジネスモデルを刻々と変化させてきた。目指すところは、企業向けのITソリューションビジネスで、2009年にペロット・システムズを買収するなど、数々の事業を統合してその土台を築いてきた。2013年には、創業者のマイケル・デルが同社を非公開化して、思いのままに戦略を立てられるような体制にしている。
一方、EMCは企業向けITサービス会社として知られる最大手のひとつである。データストレージやセキュリティ関連の技術で知られ、セキュリティ企業として有名なRSAは、同社が買収しており、また仮想化技術の大手であるヴイエムウェアの81%を所有している。
「この2社が合体すれば、企業向けソリューション会社として強力になる」というのが、今回の買収の理由である。
だが、両社とも企業のクラウド化の波に乗り遅れ、すでにクラウドサービスを大きく展開するアマゾンやグーグル、マイクロソフトという競合にそのビジネスを先取りされるなど、今後のチャレンジは大きい。
買収発表直後、ユーザー企業の
反応は厳しい
そうした中、調査会社の451リサーチが両社の顧客企業を対象にアンケート調査を行った。その結果が興味深い。この買収は成功すると見る顧客が多い一方で、そうでないとする顧客の不安は深いという印象を受ける。
このアンケート調査は、買収が発表された後24時間以内に行われ、両社の企業ユーザーの体感温度が感じられるものとなっている。対象となったのは447社で、各社のIT技術導入担当者が回答した。