自動車の「曲がる」機能(電動パワーステアリング)や軸受け(ベアリング)部品大手の日本精工。自動車業界の競争環境が激変する中、次の一手を聞いた。
──自動車部品サプライヤーの再編が世界で起こっています。現在の競争環境をどうみますか。
ここ4~5年は、地域でいえば中国、事業領域でいえば電動パワーステアリング(EPS)という二つの成長ドライバーがありました。ところが中国は、マクロ要因から市場全体が減速しています。自動車メーカーの在庫調整が、来年以降まで尾を引く可能性もあります。
また、EPSもこれまでと同じようなペースでの成長は望めない状況です。背景の一つには、技術的なトレンドの変化があります。
従来、われわれが得意としてきたのは小型車向きのコラム式と呼ばれるEPSでした。ところが最近は、中型~大型車を中心に、もう少しタイヤに近い所、いわば下流でパワーアシストする技術(ピニオン式/ラック式)が志向される傾向にある。
ここは、あまり開発リソースを投入してこなかった領域です。
──普及が進む自動運転領域でも、下流アシストが主流になっていきそうです。