10数名のメンバーの大半が上海出身なので、そこで私は、「実は高知県が知名度を上げるのは簡単だ。ヤマモモの産地と強調すれば、日本にいる上海をはじめ長江デルタ地域出身の中国人はみんな興奮してしまう」と口を挟んだ。私の発言を聞いて、食事の会場は興奮のるつぼと化した。

高知県ではおなじみの果物「ヤマモモ」

 楊梅つまりヤマモモは南方出身の中国人にとっては郷愁を引き起こす果物だ。来日20年のある女性は「この20年間、一度もヤマモモを食べたことはない。日本でも入手できるとは知らなかった」と感想を述べた。IT会社を経営している男性は、自分のルーツが江南のヤマモモの産地にある、と述懐した。

 中にはヤマモモを焼酎に付けて自家製薬酒にすると、お腹を壊したりしたとき、その薬酒を飲めばいい、といった中国社会に広がる民間の知恵を披露する人もいた。

 高知県ではありふれたフルーツなのに、こんなに中国人の心の琴線に触れられたのを見た中平市長も植田社長も驚いたようだ。なにしろ、高知県はヤマモモを県の花にしている自治体なので、ヤマモモにこんな神通力があるのであれば、その力を借りない手はない。

 そこで私は山梨県での体験を披露した。小渕沢で真菰(まこも)を栽培しだした農業法人がある。しかし、せっかく収穫した真菰をどこに売ればいいのかがわからない。それを知った私はfacebookの友達に声をかけ、一度に数十キロもの真菰を集団で仕入れてみんなに分ける販売方法を試してみた。結果は大成功だった。この販売方法はすでに数年も続いている。

「その真菰のヤマモモ版を作ればいいのでは」と提案したら、みんなが歓声を上げて賛成してくれた。中国系銀行日本支店の幹部である男性は「うちの会社だけで一度で100キロのヤマモモをさばけるよ」と心強く発言してくれた。