国際商品市況は、各国でまちまちの動きとなっている。10月は、各国の中央銀行が緩和的な政策スタンスを示したこともあって、金融市場ではリスクオンの雰囲気が広がり、コモディティ市場も全体的に下支えされた。

 懸念されていた米国の利上げだが、9月の実施は見送られた。10月に入ると、さらなる利上げの先送り観測が強まり、日本銀行の追加緩和観測も出てきた。22日に欧州中央銀行のドラギ総裁が12月の追加緩和実施を強く示唆し、23日には中国人民銀行が追加緩和を実施した。

 しかし、10月28日に発表になったFOMC(米連邦公開市場委員会)の声明文は、消費動向などの判断を引き上げ、また、12月のFOMCで利上げを検討することを明記し、金融引き締めに前向きと受け止められた。11月4日には、FRB(米連邦準備制度理事会)議長が米下院金融サービス委員会で証言し、12月の利上げの可能性についてあらためて言及した。

 こうした中、10月の米雇用統計が高めだったこともあり、市場が織り込む12月利上げの確率は上昇し、コモディティ市場では、金利に敏感な金を中心に価格下落要因になっている。金は、7月に1トロイオンス当たり1080ドルを割ったところを底に下値が堅くなっていたが、再び1080ドル近くまで売られた。

 米金利の引き上げ観測は、ドル相場の上昇要因になることもあって、コモディティ市況全般の下押し要因になっている。

 景気に敏感な銅などベースメタルの市況は、ある程度の底堅さはあるものの、上値は重い。中でも、アルミニウムは、10月下旬に2009年6月以来の安値を付けた。