正直者の学生・企業は損をする!<br />6月面接解禁のトンデモな影響10月末、就職支援事業を行う「ジェイック」が開催した中堅・中小企業と今年の大学4年生の「集団面接会」。企業12社と大学4年生20名超が参加し、総当たりで面接を行った

 対して企業側は、どうでしょうか。

「今年の採用は7名が目標だったが、2名に辞退されて内定者ゼロの状態で困っている。これまではナビに出せば説明会に参加する人が必ずいたが、今年はエントリーがなく、そもそも説明する場がない。エントリーがあってもドタキャンも多かったのは残念だった。

 2017卒から6月解禁になるというニュースが出たその日に、大手就職情報サイトの営業担当者から連絡があったが、今はまだ2017卒のことなんて考える余裕もない。2016卒をまずはなんとかしなければならない」(建設系の中小企業)

 6月解禁の話以前に、現時点での人員確保もままならない状況が中小企業では起きているようです。なかには例年よりも採用基準をかなり下げている企業もあります。システム系の中小企業では、「主体性があまり高くなくても、企業が育てた上で活躍できそうな学生を採用する」という方針に変え、今年の採用をなんとか乗り切ろうとしています。

 今年のこうした事態を考慮すると、6月解禁になれば、企業説明会の時点である種の“選考”を実施する企業が増えたり、自社のインターンシップ経験者へのアプローチを増やしたりする企業が増えてくるはずです。

 そうした中でやはり懸念されるのは、学生が安易に内定先を決めてしまう事です。説明会ではより企業アピールが強まり、かつ早期に決めるためのアプローチが強まった中で学生が「この企業でいいだろう」と考えるのを放棄してしまっては元も子もありません。

 個人的には今年は、後ろ倒しがあったにもかかわらず、早期に就職を決めて、今になって就職先に迷っている学生が多く存在していると感じています。そんな思いがあるにもかかわらず、実際に入社式に出席し、「想像していた仕事、職場と違った」というキャリアショックを経験し、安易に辞めてしまうとしたら、非常にもったいなくはないでしょうか。

 確かにスケジュール変更で様々な不具合が生じている反面、就職内定率は上がっているのも事実ですが、大切なのは入社してからどのようなキャリアを築いていくかです。

 一人前に成長するには3年はかかるなどと言われますが、早期内定や採用スケジュールの変更による影響がありながらも、最終的には学生は長く働いていける会社を選択できるようにしなければなりませんし、企業も長く働いてくれる学生を選ばなければなりません。政府をはじめとした関係機関には、実際に活動するのは学生であり、企業であるという意識を持っていただきたいものです。

(キャリアプロデューサー 櫻井樹吏)