温暖化よりは寒冷化に備えなくてはならない
国連機関IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が第1次報告書でCO2による地球温暖化を唱えたのは1990年。いまから25年前である。以来「二酸化炭素(CO2)が増えて地球が温暖化している。このままでは大変なことになる!」という言説が広く流布されてきた。
ところが、深井有『地球はもう温暖化していない』は断固として主張するのだ。〈実際に温暖化が起こっていたのは7~8年に過ぎず、その後、世界の平均気温は頭打ちになって、今はむしろ下降傾向にある〉
そもそもCO2は悪者なのか。とんでもない。植物にとって光合成に必要な大気中のCO2は多いほどよいのであって、実際、砂漠化が進むという喧伝に反し、CO2の増加でいまは砂漠の緑化が進んでいる。
温暖化はよくないことなのか。いやいや。過去2千年の気温の変化を見るだけでも、温暖期と寒冷期がくり返されている。西暦1000年頃の温暖期は豊かな平安時代、1600年代の江戸時代前半は寒冷期で飢饉が頻発した。温暖化は人間に対して何の不都合ももたらさない。
いわれりゃたしかに……。IPCCは科学より大義を重んじる「温暖化ムラ」であり、多くの先進国はすでに国連主導の温暖化キャンペーンから距離を置きつつある。知らぬは日本ばかりなりと著者はいう。
気候変動は主として太陽活動に支配されてきた。そして近年の研究では、太陽活動は今後、数十年~100年で弱まり、〈これまで数百年ごとに訪れて、たびたび飢饉をもたらした小氷河期がまさに再来しようとしている。温暖化よりは寒冷化に備えなくてはならないのだ〉。
そういえば、ここ2~3年、欧州や北米には大寒波が襲来して、死者が出ている。2014年の冬は日本も大寒波に襲われ大雪が降った。今冬の長期予報はどうなのか。
まさかと思う方は一読を。副題は「科学と政治の大転換へ」。数年後にはこっちが正論になるにちがいないと私は確信しちゃったよ。
※週刊朝日 2015年11月27日号