印象派のビックダディのてんてこまいな毎日

クロード・モネ&アリス一家の写真、1886年

山田 フランスに帰ってきてから亡くなるんだけどね。で、このダンナが亡くなった翌年にモネとアリスは再婚。名実ともに大家族になります。これはモネとアリスが結婚した直後の家族写真。ちなみに、モネの長男ジャンとアリスの次女ブランシュも1897年に結婚してます。

こやま やっぱり一緒に住んでると情が移るんですかね?

山田 しかもジヴェルニーなんて田舎にひっこんじゃってたから出会いも少なかっただろうしね。

こやま 娯楽もないし。

山田 ビッグダディというより、昔TBSでやってた別の大家族みたいに義理の兄妹間でいろいろ起きちゃう感じかな。いずれにせよ、ここまではただの幸せ大家族の話だよね。「印象派のビッグダディのてんてこまいな毎日」みたいな感じで。

山田五郎(やまだ・ごろう)
評論家。1958年東京生まれ大阪育ち。映画を学ぼうと上智大学新聞学科に入るが西洋美術史に興味を持ち、オーストリアに遊学。帰国後、大学院に進もうとしたが向いてないと教授に言われ自分でもそう思ったので出版社に就職。美術書を手がけるつもりが雑誌編集者として働くことに。あらゆる分野で細分化と厳密化が進みすぎて全体像がわかりにくくなっている中で、自分は専門家ではないからこそ批判を怖れずざっくり面白く伝えることができると気づく。以来、美術、時計、食、街などについて、ざっくりした話を書いたり語ったり。近著に『知識ゼロからの西洋絵画史入門』(幻冬舎)、『銀座のすし』(文春文庫)など。テレビ『ぶらぶら美術・博物館』(BS日テレ)や『出没! アド街ック天国』(テレビ東京系)など。

こやま淳子(こやま・じゅんこ)
コピーライター。京都生まれ。早稲田大学卒業後、博報堂などを経て独立。西洋美術はズブのシロウト。そんな自分にも楽しく美術を解説してくれた山田五郎トークの魅力にとりつかれ、ギャラリストの小和田氏、VoiceVisionの上地氏らとともに『ヘンタイ美術館』を企画。「学芸員見習い」として五郎館長に教えを請うトークイベントから始まり、本書の元になった原稿を作成。様々な方々の協力を得ながら本書に至る。最近の仕事に、プラン・ジャパン「13歳で結婚。14歳で出産。恋は、まだ知らない。」、ワコール、カゴメ、ロッテの他、宣伝会議講師なども務める。著書に『しあわせまでの深呼吸。』『choo choo 日和』シリーズ。

※連載第3回目は、「あの『睡蓮』は鎮魂だった!?モネのドロドロ不倫劇とは。」引き続き、モネについて語っていただきます。