さらに衛星関連では、日本の大企業でも、技術力の高さで製品を一新させたり大幅な改良を重ねたりして、世界へアピールしようとしている。

小型化、緻密さ、正確さ
“日本らしい”技術力でビジネス展開

 キヤノンは、実用的「Geイマージョン回折格子」の開発に成功したと報じた。これは天文台などに設定されている大型望遠鏡を衛星に搭載できるサイズまで小型化できる技術である。

 キヤノンによれば、天文台の大型望遠鏡に搭載されている高分散の赤外線分光器と同等の性能を持ちながら、分光器の体積を約64分の1まで減らすことができる。リモートセンシング衛星(*3)で高い分解能の画像を得るためには、回折限界などから光学系や分光器が大きな構造物となるのが実情であるが、この技術は、赤外線の周波数領域で活用するリモートセンシング分野に大きなインパクトを与えそうだ。

キヤノンが開発した「Geイマージョン回折格子」。超精密加工技術により大幅な小型化を実現
出所:キヤノン

 また、シャープは、移動体衛星通信の低コスト化と信頼性向上に貢献する新型フラット型衛星アンテナを、米国カイメタ(Kymeta)社と共同開発すると報じた。船舶、飛行機、車両などに搭載されている衛星用アンテナは、回転機構により衛星からの信号を受信する可動式であるのが一般的であるが、このフラット型衛星アンテナは、可動構造なしにそのままの状態で設置すれば衛星からの信号を受信できる。構造が簡素化でき、小型で、高信頼性であるのが特徴である。

 日本の技術力の特徴ともいうべき“緻密さ”、“正確さ”を活用して宇宙ビジネスを展開する企業もある。

 カーナビゲーションにも見られるように、所在の位置情報の推定には衛星は必要不可欠である。GPS衛星などの測位衛星からの送信される信号を活用して、所在の位置情報を高精度に推定することができる。

 これに関し、パナソニックは、タブレットPC「TOUGHPAD」に内蔵するための高精度測位システムを開発した。1周波RTK-GNSS機能を活用して、条件により10cm程度の精度で測位が行えるという。また、従来にはなかった容易に可搬できるタブレット型であること、CPUとメモリーにより測位時間を大幅に短縮できること、などの特徴を持つ。

 この高精度測位システムは、高精度で自動運転が可能となるため、豪雪地帯の除雪作業やスマート農業などに活用できる。2015年12月には北海道岩見沢市で除雪作業の実証実験を行う予定だ。

(*3)リモートセンシング衛星:各種センサーを搭載し、地表や大気、海面の状況などを観測する人工衛星。気象観測、土地利用や水産業の管理、災害状況把握、資源探査、地図作成など利用範囲は広い。気象衛星や軍事用の偵察衛星もその一種。