政府の経済対策では“財源論”での批判が必ず出るが…

政府の緊急対策に対する
“財源論”批判の滑稽さ

 11月26日、「一億総活躍社会の実現に向けた緊急対策」がまとまった。GDP600兆円、希望出生率1.8、介護離職ゼロ。これが新三本の「的」である。緊急対策は安倍晋三首相が打ち出した三つの数値目標を実現するためのものだ。

 具体的な話として、保育所や介護施設の受け入れ人数拡大や、親の介護で現役世代が仕事を辞めるといった事態をなくすこと等の施策が盛り込まれている。 

  これに対して、マスコミの評価は厳しい。11月27日付の日経新聞社説は「道筋も財源も不透明な『一億総活躍』対策」、東京新聞社説も「1億総活躍会議 財源が示されていない」とし、ともに財源がないことを批判している。

 マスコミはこれで批判したつもりになっているので気楽なものだ。財源論は、財務省がよく言う、金庫番のくだらない批判だ。内容には立ち入らずに行える。しかも、財務省が悪質なのは、立場上財源の存在を知りつつ、それを知らない部外者には財源論を言うことだ。

 その意味で、マスコミやコメンテーター・学者が、財務省の走狗となって、財源論を振りかざすのはかなり滑稽だ。そういう人たちは、財源があればそんな政策はとっくにやっており、できなかったのは財源がないからだとしばしば言う。財源を隠してきた財務省の正当化まで手助けするという、まさに財務省のポチそのものだ。