鉱工業生産指数や在庫指数の動きから判断すると、7~9月の実質GDPもマイナス成長になる可能性が高い。重要なのは、これが単に短期的な景気変動の問題であるというよりは、構造的な問題であることだ。消費税増税前の駆け込み需要や財政支出の増加を除外すると、ここ数年、実質GDPは横ばいだった。
低下を続ける鉱工業生産指数
7~9月GDPもマイナス成長の可能性
鉱工業生産指数が低下を続けている。経済産業省が9月30日に発表した8月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は、前月比で0.5%低下した。低下は2ヵ月連続である。これを受けて、生産の基調判断は「一進一退で推移している」から「弱含んでいる」に変更された。
図表1に示すように、最近の鉱工業生産指数は、消費税増税直前の14年1月の103.2をピークとして、低下傾向にある。15年1月には一時的に102.1まで上昇したが、これを除くと停滞気味であり、今年夏以降は明確に下落している。
◆図表1:鉱工業生産指数の推移
経済産業省の製造工業生産予測調査の8月の予測では、8月は前月比2.8%の上昇が見込まれていた。しかし、実際には、上述のように低下になったのだ。
予測調査によると、9月は前月比0.1%の上昇、10月は同4.4%の増産計画になっている。これから計算すると、7~9月期の鉱工業生産指数は97.2となり、4~6月期の98.3に比べて1.09%の低下になる。
4~6月期の生産指数は、1~3月期の指数に比べて1.44%の低下であった。したがって、仮に予測調査どおりであれば、生産指数は2期連続の低下になるわけだ。
鉱工業生産指数は、実質GDPと強く相関している。実際、4~6月期の実質GDP成長率は、季節調整済み前期比年率1.2%減であり、鉱工業生産指数の低下率1.44%とほぼ同じ値だった。これから判断すると、7~9月の実質GDPは、1%程度のマイナス成長になる可能性がある。