米ゼネラル・モーターズ(GM)の経営破綻から1年が経った。国有化された新生GMは今年第1四半期(1―3月)に3年ぶりに黒字転換。年内の新規株式公開に向けて近く主幹事を選定する可能性も出てきた。果たして復活は本物なのか。(文/ジャーナリスト ポール・アイゼンスタイン)

 自動車業界で秘密が守られることなどめったにない。だが、ゼネラル・モーターズ(GM)の最高経営責任者(CEO)兼会長を務めるエドワード・ウィッテーカー・Jrは、一つ大きな秘密を隠し続けている――いったん経営破綻したGMが、待望の新規株式公開に踏み切るのはいつか、という謎だ。

 ほんの1年前(2009年6月1日)に経営破綻したGMにとって、再び株式を公開するというのは、再建プロセスにおけるきわめて重要な一歩である。特に、米国民にとっては非常に重要だ。何しろ、かつては世界最大の企業だったGMにはこれまで米国民の税金500億ドル以上がつぎ込まれ、少なくともその一部なりとも取り戻すためには株式の公開を待たなければならないからだ。

 連邦政府の国家経済会議のローレンス・サマーズ委員長は5月、「(公的資金)返済の見込みは1年前に比べて高くなっている」と断言した。これは、「長期的に見て数十億ドルの公的資金が失われることになる」と示唆した先の議会報告に反論するものだ。

 最近では、こうした楽観論を口にするのはサマーズ一人ではない。GMの第1四半期の業績がこれを後押ししているのは確かだ。2009年の終盤には40億ドルもの損失を計上したが、その多くは倒産に関連した特別損失であり、その後1~3月期は、確実に8億6500万ドルの純利益を確保した。

 利払い・税引き前利益(EBIT)ベースでは、1~3月期は17億ドルの黒字となったが、何よりも重要な数字は、長く不振の続いた北米部門が12億ドルの黒字となったことだろう。中核事業である北米部門のEBITは、2009年第4四半期には34億ドルの赤字となっていたが、ここから大きな回復を見せた。欧州部門は依然として不振にあえいでおり、少なくとも部分的には政府による支援を必要としているが、それでも損失は前期比約40%減の5億ドルにまで抑制された。