わからないことさえわからない
「Unknown unknown」というリスク
年末は今年1年を振り返り、来たる年がどのような年になるのか、考えを巡らすことが多くなると思います。今年起きたことで年初には到底想像できなかったことは何だったでしょうか。
ギリシアが国民投票まで実施してユーロ離脱の瀬戸際まで至ったのは驚愕でした。秋には、中国の経済成長の見通しが下方修正されたのもサプライズで、株式市場を始め様々な波紋が広がりました。そして欧州を揺るがす難民問題と、さらにはパリで起きた大規模なテロ事件は、国際関係の底流にある不安定性を表面化させました。
では、来年サプライズはあるのか。多分あるでしょう。米国のラムズフェルド元国防長官が語ったことの中で、「わからないこと(Unknown)にも2種類ある」という話があります。
まず「Known unknown」(わかっている未知)とは、詳細や最終的な結末はわからないが、わからないことは少なくともわかっているということです。ところが、さらに「Unknown unknown」(わかっていない未知)というのもある。わからないことさえもわかっていない、つまり「全くもって予想できていないこと」ということになります。
見方の違う人の意見を聞いたりして考える範囲や角度を変えることによって、多少わかる部分が増える、ということはありますが(だから多様性が大事なのですが)、後者は予測精度を上げてもそこから外れているものなので、定義上対処のしようがありません。しかし、前者については、ある程度可能性を特定できますし、それなりの準備も可能です。まずは、「わかっている未知」を経済関係で考えていくことから始めましょう。メインシナリオを想定し、他方で可能性は低いがサプライズの事態に備える、というのがオーソドックスな考え方だと思います。
「金融危機10年周期説」によると
2016年は次の金融危機の前年にあたる?
いきなりですが、「金融危機10年周期説」というのがあります。1987年にブラックマンデー、1997年にアジア危機、2007年にリーマンショックがあったから、2017年にも金融危機が起きるのではないか、と懸念する声です。ジンクスと紙一重ではありますが、来年2016年はある意味、これまでの経済や金融市場の歪みが爆発に向かっていないか、注意すべき年であるとは言えるでしょう。