このように住民一人ひとりに当事者意識をもってもらうことが、とても大事です。民間が何でも行政に任せるのではなく、何ができるのかという意識を持ち、まちづくりに関わっていく。住民を巻き込んでいる自治体は、成功の道を歩みつつあります。

 反対に地方創生がうまくいかないのは、行政はやりっぱなし、民間は頼りっぱなし、市民が無関心である、というケース。いわば「逆三位一体」ですね。

自治体の枠を超えた
地域間連携もキーワード

――地方創生といったときに、自治体ごとの括りに縛られるのではなく、地域をどうとらえるかも重要ではありませんか。

 地方版総合戦略をつくるにあたって、「地域間連携」もキーワードとなっています。自分の市や町で何が完結しないのかを考えることが大事です。地方創生には「定住自立圏構想」や「連携中枢都市圏構想」がありますが、各自治体が自分たちをどう位置付けるかが明確でないと、メニューがあっても使いようがありません。

 例えば、公共施設を統合していくのか、しない方がいいのか。広域連携は極めて重要で、市町村の枠をこえた連携によって、より高度な行政サービスが行われれば、より多くのヒト、モノ、カネがその地域の中で回るようになります。

――例えば観光業にしても、自治体の枠で考えるのではなく、広域ブランドのようなものを考えるのも一つのアイデアですね。

 そうです。道路の沿線同士でも、河川の沿線同士でも、鉄道の沿線同士でもいい。例えば、JR九州は豪華な観光寝台列車の「ななつ星」を走らせて、九州全体を巻き込みました。これに刺激されて17年には、JR東日本が「四季島(しきしま)」、JR西日本が「瑞風(みずかぜ)」を走らせます。

 ひるがえって、コンパクトシティとなれば、富山市の例が出てくるが、その次が出てこない。商店街の再生となれば、高松市の高松丸亀町商店街の例が頭に浮かぶが、次が出てこない。このようにうまくいったモデルを、全国でも活用できるようにどう横展開していくのか。こうした成功事例を運動として広げていく、地域の活性化の教科書みたいものが必要でしょうね。

よそ者の知恵や
視点を活用する

――地方創生のカギは標語に掲げられているように、「まち・ひと・しごと」に集約されます。なかでも仕事があってこそ、人も集まるし、街にも活気が出る。そして仕事をつくり出せるのはやはり民の力ですね。自治体と民の関係はどう考えればいいのでしょうか。

 民の方がいろいろな提案を行う、ということではないでしょうか。行政はその提案を実行できるような環境をつくる。例えば、農地を農地以外の目的に転用する農地転用です。利用するメニューを農地転用だけで考えると制限が多くて、なかなか実現しない。地域再生計画をつくることで、容易になることがあり得ます。