損保業界は、金融ビッグバンや規制緩和、人口減などの荒波を経て、東京海上HDとMS&AD、それに損保ジャパンの3メガ企業が全売り上げの90%を占める寡占状態。自動車保険をはじめ人口減による市場の縮小が避けられないなか、海外損保の買収に活路を見出そうとしてきた。高齢者人口の増大を見込んでの介護市場への関心は高く、新分野として触手を動かし始めた。

 東京海上ホールディングスは、グループ会社の東京海上日動ベターライフサービスを通じて、この2月からサ高住「D-Festa(ディーフェスタ)溝の口」(川崎市高津区)の運営を始める。

 ソニーフィナンシャルホールディングスは、ソニーライフケアが子会社を通じて4月に介護付き有料老人ホーム「ソナーレ祖師谷」(東京都世田谷区)を開設する。かつて買収した有料老人ホーム「ぴあはーと藤が丘」(横浜市青葉区)に次ぐ2棟目だ。グループ全体として、生保、損保、銀行に次ぐ第4の柱として介護を位置付けている。

介護の「社会化」が促進される

 介護保険施行後17年目を迎えようとしている。この間、介護の社会化への意識は国民の間にかなり浸透してきた。家族による自宅介護から施設介護への流れを加速させた。だが、居住系サービスはその需要を満たしていない。

 特養の絶対的不足が低価格有料老人ホームを生み出したものの、まだ居住サービスは不足している。その待機者の受け皿として4年前からサ高住が加わり、やっと一般企業が介護業界に参入する舞台が整った。

 電気や電力、不動産、電鉄など異業種から有料老人ホームへの参入は続いており、ベネッセや学研のように本腰を入れる教育産業もあった。だが、介護付き有料老人ホームは、いまや市町村が作成する3年間の介護保険事業計画の枠内でしか新規開設ができない。事実上の許認可事業となってしまった。自由な競争によって切磋琢磨しながら利益を上げてきた一般市場とはかけ離れている。

 一般の賃貸住宅と原則、大差ないサ高住はその点で普通のマーケット。企業の参入意欲が違ってこようというものだ。加えて政権の3大政策のひとつに介護サービスの充実が掲げられ、強力なアクセルが踏まれている

 他業種からの一般企業の参入で、本来の介護の社会化が促進されるだろう。家族介護からの脱皮という当事者サイドだけでなく、労働条件など働く側の「社会化」が確立するには、一般企業のルールが必要とされる。