他方、中国は北朝鮮が混乱により崩壊することは望んでいない。それによって国境を接する東方地方に難民が押し寄せることが危惧される。また、同地域の朝鮮族の動向が不安定になることを望んでいない。特に、北朝鮮が崩壊して、在韓米軍を有する韓国と国境を隔てて対峙することになりたくない。このため、これまで中国は実効性のある北朝鮮制裁に慎重であり、独自制裁後も同国に対する支援は続けていた。さらに、自国企業が北朝鮮と取引するのも黙認してきた。

 しかし、北朝鮮が核弾頭の小型化でミサイルに搭載できるようになり、米国への運搬手段も手に入れれば、直接米国に対する脅威となる。また、今後核開発を進め、さらに核弾頭の保有数が増えれば、核が中東のテロリストに渡ることも懸念される。そうなれば、米国の北朝鮮に対する姿勢はいっそう硬化し、それは中国の安保にも影響を及ぼしかねない。中国にはジレンマである。

東アジアで“力の空白”を生むな
日本にもリーダーシップが求められる

 米国は今年秋の大統領選挙を控え、中国でも南シナ海の問題、国内経済の低迷、汚職撲滅など緊急の課題を多く抱え、北朝鮮問題では力の空白が見られる。だが、北朝鮮の核ミサイル開発段階は、米中はじめ国際社会にとってもはや猶予のできない問題となっている。

 本年から安保理非常任理事国となったわが国にとっては、北朝鮮の核問題での今回の安保理が初仕事となった。わが国は本年G7サミットの議長国でもある。岸田外務大臣はさっそく、ケネディ駐日米大使と会談するとともに、韓国やドイツの外相と電話で協議し、緊密に連携していくことで一致した。安倍総理はオバマ大統領との電話会談を行った。

 韓国は朴大統領の対応で述べた通り、今回も毅然とした対応を示し、北朝鮮に対し強力な制裁を要求するであろう。こうした点で日米韓の姿勢は一致している。韓国もあらためて日本の重要性を理解するきっかけとなるのではないか。

 北朝鮮の核問題に対しては各国の協調が何よりも重要である。わが国が東アジア地域で力の空白を生まないよう、リーダーシップを発揮していくことが求められている。