明るい絵が描けない先進国経済
日本は比較的期待が持てるが…

 一方、欧米やわが国などの主要先進国の景気にも、当面、大きな期待を持つことはできない。最も重要な米国の景気については、経済の川上である製造業部門に元気がない。昨年11月、12月と2ヵ月連続で、製造業部門のPMI(購買部担当者景気指数)は節目と言われる50を下回っている。

 今のところ、経済の川下に当たる個人消費は、労働・所得環境の改善を背景にしっかりした展開を示しているものの、今後、製造業部門でのレイオフなどが目立ってくると、個人消費に影が落ちることも考えられる。

 また、エネルギー関連企業の多い米国にとって、原油価格が不安定な動きをしていることも気になる。最近の相場展開を見ると、原油価格と米国株価指数の連動性が高い。原油価格が一段と下値を切り下げると、米国の株式市場も不安定な展開を続けるだろう。

 わが国経済に関しては、安倍政権の補正予算や夏の参院選挙対応の景気対策も期待できる。また、日銀黒田総裁はさらなる金融政策の発動も可能と発言しており、相応にしっかりした足取りを歩むと見られる。ただ、早い時期に米国経済の減速が鮮明化すると、わが国のみならず世界経済の足が引っ張られることは避けられない。

 足元の欧州経済は、ECB(欧州中央銀行)の金融緩和策を背景に、何とか回復へのプロセスを歩んでいるものの、短期的に大きく改善する構図は描けない。

 むしろ、欧州主要国は難民対応という難問を抱えている。EU諸国にとって、これをいかに切り抜けるかは避けて通れない問題である。EUにとって経済面だけではなく、諸国間の政治的結束を試される課題だ。

 その趨勢によっては、英国のEU離脱などの問題が浮上することも懸念される。その意味で、EU諸国が世界経済を牽引するエネルギーになることは難しい。

 米国、EU諸国などの先進国と、中国をはじめとする新興国の経済が、一斉に減速ないしは下落傾向を辿る最悪のシナリオも頭の片隅に入れておいた方がよい。