記憶競技の中にも
「顔」と「名前」の種目が

 そんな難しさを持っているところから、私が参加している記憶競技の中にも「顔と名前の記憶」の種目が存在します。問題用紙に何十人もの顔写真と名前が印刷されていて、制限時間内にできる限り顔と名前を記憶する競技です。

 大会には世界各国から選手が集まりますので、難易度に差があってはいけません。そこでその競技に使われる顔写真、名前は全世界の人種、民族、性別、年齢の中から平等に抽出されます。ですからアフリカ系の人の顔に日本人の名前がついていたりします。中には生まれてから初めて聞くような名前もたくさん出てきます。例えば、「ダヴィダシュベリ・オムディヤラ」とか「バシングスン・ウエイド」といったものなどは、もはや私は人の名前という認識で競技に挑んではいません(笑)。

「こんな名前、絶対覚えられない!」と思われた方もいるかもしれません。ですが、これからお伝えする方法を使えば、簡単に覚えることができるのです。

人の心理を利用する

複数の人と名刺交換したときこそ、相手の名前はなかなか覚えられないものです

 では、どのような考えを基にすれば良いのでしょうか。そのヒントはある心理現象にあります。それがベイカーベイカーパラドックスという心理現象です。

 2つのグループに同じ人の写真を見せて、一方にはこの人の名前は「ベイカー」さんです、と説明し、もう一方のグループにはこの人の職業は「ベイカー(パン屋)」ですと説明しました。すると、後になってよく覚えていたのはパン屋として覚えていたグループだったそうです。

 つまり、単なる文字情報である「名前」よりも、その人の「背景」の方が想像力を刺激し、イメージが湧き、その人の感情、ひいては記憶に残るということです。人の名前を覚える際は、この心理特性を利用するわけです。

顔と名前を結びつける

 大げさに聞こえるかもしれませんが、人の顔と名前を覚えるには記憶の性質を利用した戦略と戦術が存在します。まずは戦略として次の3つが必要です。

1、必ず覚えるという「意志」を持つ
2、「感情」に訴えかける
3、「復習」する

 これらを踏まえて説明します。