国際的な投機資金の流れが大きく変化しており、これが世界の金融市場に大きな動きを与えている。
日本では、株価が下落し、国債利回りが低下している。また、円高が進んでいる。これは、海外からの資金が日本に流入し、株式ではなく国債に向かっている結果と解釈できる。つまり、投機資金のリスクオフ現象が生じているのだ。
この動きが日米金利差拡大より大きな影響をもてば、円高が進み、日本経済に大きな影響が及ぶ可能性がある。
市場動揺の原因は中国ではなく
アメリカの金融正常化
一般には、現在の世界金融市場の動揺は、中国株式市場における株価下落が原因だと言われている。しかし、基本的な背景は、アメリカの金融正常化である。
中国の株価下落とアメリカ金融正常化は、ほぼ同時に進行しているので、どちらが原因かの区別は難しい。
しかし、以下に見るように、世界金融市場の大きな動きは、アメリカの金融政策の節目に生じている。そして、いま生じている現象は、この一連の動きの継続と考えられるのである。
国際的な投機資金の動向変化は、いま突然始まった現象ではない。アメリカ金融政策の縮小と停止に伴って、これまで数年間にわたって生じていた。
その始まりは2013年5月で、このとき、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長がテイパリング(金融緩和政策の段階的縮小)を示唆した。この影響で、新興国の通貨が減価し、株価も下落した。
14年10月にFRBが正式に金融緩和の停止を宣言したが、それに先立ち、夏から秋にかけて、緩和停止を予測した投機資金に、以下に見るような大きな変動が起きた。