留意点(3)全員の移り先の確保
辞意表明は準備が完全になってから

 転職一般に言えることだが、「確実に」次の職場を得ることができるような準備をしてから、「辞めたい」と、退社の意思を伝えるのでなければならない。

 ちなみに、一度でも「辞めたい」と言ってしまうと、発言を撤回して会社に残った場合も、社内における当人への評価と信用は大きく低下するので(大事な仕事は任せられない社員だという評価になる)、次の準備が完全になってからでないと、辞意は表明できない。これは、グループでなく、単独の転職でも同じだ。

 グループ転職の場合、移ろうとするメンバー全員の次の職を確保してからでないと動けない。手続きも面倒であるし、その間の秘密の管理も厳重でなければならない。

 今回、木村拓哉氏以外のSMAPメンバーが、担当マネージャーと一緒に独立しようとしたのか、別の芸能事務所に移ろうとしたのか、詳しい事実関係は不明だが、次の受け皿となる事務所と、仕事の場が確保されていないまま辞めようとしたのであれば、これは、「グループ転職としてのリスク管理」に問題ありと言わざるを得ない。

留意点(4)転職後の役割に関する全員の合意
重要メンバーが抜けてしまうと苦しい

 一般にグループ転職の長所は、もともとチームを組んでいたメンバーがまとめて移籍するので、移り先での仕事の立ち上げが早いことだ。

 ただし、この場合に、重要メンバーが抜けるようなことがあると、チーム全体が大きな影響を受けてしまう。

 従って、グループ転職では、移籍後の役職や経済的条件、さらには担当する仕事などに関して、個々のメンバーの合意を取り付けておいて、雇用契約をアレンジしなければならない。転職を機に、前の職場での不満が出てくることがあるし、いざ転職となった時に家族の反対でこれが難しくなるようなケースも現実にはある。

 SMAPが、仮にメンバー全員揃って事務所を離れることができたとしても、商標としての「SMAP」は使えないのかもしれない。だが、彼らが揃っていることで手に入る商機は少なくないはずだ。

 今回、木村拓哉氏がどのような経緯と判断で、所属事務所に残ることとしたのかは不明だが、SMAP問題をグループ転職問題として眺めると、手順が十分周到でなかったように見える。全員の足並みが予定通りに揃わなかった時点で、今回のプロジェクトは相当に苦しいと形勢判断しなければならなかったはずだ。