連載第9回でコストについてお話ししましたが、インフラ整備についても大変な需要があります。たとえば、京浜急行電鉄が2016年3月期決算予想で過去最高益を更新すると発表しました。これは外国人観光客の間で、羽田から利用する電車では京浜急行が料金のみならず、乗り換えや時間も含めて最も便利だという話が広まっているからであるとも言われています。海外のLCCが日本でホテル展開するという話もありましたが、今後需要があるのではないでしょうか。

 リーバイスがなぜ世界的なジーンズメーカーになったか、という有名な小咄があります。ゴールドラッシュのとき、一番儲けたのは砂金を取りに行った人ではなくて、リーバイスだった。川や岩で擦れても破れない立派な作業着をつくっていたので、砂金を掘り当てる人も掘り当てない人も全員リーバイスを購入したので、大企業になったということです。裏方のビジネスを独占できたとき、事業としては面白くなる。

 たとえば旅行代理店は、今は当然訪日客に力を入れています。そのため色々な言語を話せるガイドさんが必要ですが、旅行代理店が自社で抱えると大変です。だったら、どこの代理店でも使えるガイドを用意できると、旅行代理店ツアーの当たり外れにかかわらず、その会社はどの代理店にもガイドさんを提供できる。そういうやり方は二次需要では十分考えられます。少し知恵を絞って裏方に回ると、「そこは全部押さえています」というようなビジネスがあるのではないでしょうか。

 それから、日本的な生活が海外の人から見ると「いいね」と思われる点がある。日本的な生活というのは、日本人からすれば当たり前ですが、海外の人からは“合理的”と見えています。たとえば食生活で、「日本食はヘルシーだ」とか。そうしたことが、今後色々出てくるのではないかと思います。

公文はなぜ世界に広まったのか?
経済波及効果の先にあるもの

 それでは、二次需要である経済波及効果のその先にある、「三次需要」についてもお話ししましょう。

 これはあまり指摘している人がいないかもしれませんが、最初にお話しした、日本のビジネス習慣を見直したり、チャンスやモノを使ったりすることによって、今後日本のサービスやビジネスモデルにどう仕立てて、どのようにグローバル展開にしていくかということが、「爆買い」から考えられる1つの示唆になるのではないでしょうか。

 爆買いというのは、別に日本が何かに絶対的に優れているというよりは、「本物が買える」「品質がいい」「日本に憧れがある」「安心安全」「盗難に遭わない」など、複合的な理由です。

 一方で、「言葉が通じない」「標識がわからない」「よそ者を拒絶する」ということも言われています。そういう中で、日本オリジナルや日本の良さを持ったものを、どうしたら海外に行ってお金にできるのかということを、もっと考えるためのヒントを、「爆買い」が与えてくれているのではないでしょうか。