「一日三合の牛乳を飲むこと」をモットーに104歳まで生きた女性イラスト/びごーじょうじ

 加藤シヅエは日本を代表する女性解放運動家、政治家である。明治時代に生まれ、大正、昭和、平成と生き、2001年、満104歳で亡くなった長寿者だ。戦時中から一貫して女性の権利を守り、地位向上に大きく寄与した。『百歳の幸福論』という本の写真の中で新聞に目を通す加藤シヅエの後ろの壁には、夫が残した「学為不老」(学んで老いず)という書が見える。その言葉の通り、加藤シヅエの健康の秘訣は老いて衰えない好奇心にあった。毎日、新聞に目を通し、ラジオも好きだった。

 同じ本に記録されている食事は例えば以下の通りである。朝食にはバターとジャムをたっぷり塗ったトースト、チーズ、カフェオレ、牛乳、栄養ドリンク。ある日の昼ご飯はハムと野菜のサンドイッチ(カツサンドも好きとあり)にミルクティー。夕食はエビ、サケの揚げ物、タルタルソース、カボチャのスープ、ご飯にごま塩、鶏レバーしょうが煮、たくあんの漬け物……別の日にはサーロインステーキとある。

 一見すると油脂分とタンパク質の多い欧風化された献立で、はたしてこれが長寿の食卓なのか疑問を持つ方もいるのではないか。彼女の貿易商で海外滞在の多かった父親を持ち、西洋的な家庭環境で育った影響を見ることができる。また、特に牛乳を飲む習慣を大事にしていて、別の本には「一日三合の牛乳を飲むこと」をモットーにしている、とある。