自衛隊メンタル教官が教えてきた 自信がある人に変わるたった1つの方法 下園壮太著 定価:1,404円(税込)

 2015年12月から50人以上が働く事業所に義務化された「ストレスチェック」。年1回、労働者のストレス状態を調べることで、労働者のメンタル不調を事前に防ぐのが目的である。それほど、働く人の心の不調が社会問題化しているということでもある。

 では、実際にどういう原因で、うつ病など心が折れた状態になってしまうことが多いのか。長年、自衛隊のメンタル教官として、多くのカウンセリングや心の不調予防策を実施してきて、『自衛隊メンタル教官が教えてきた 自信がある人に変わるたった1つの方法』(朝日新聞出版)の著者である下園壮太さんにお話を伺った。

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 筆者は長年、自衛隊のメンタルヘルスの現場で仕事をし、昨年定年退官した。ご想像のように、自衛官は過酷な任務を与えられることもある。そんな厳しい状況の中でも心が折れずに任務を遂行できるようにメンタル面のサポートをするのが筆者の役目だった。

 同じ厳しい環境下の勤務でも、折れる人と折れない人がいる。その差は何なのだろう。

「折れる」には2つのパターンがある

蓄積疲労は3段階に分けられる(『自衛隊メンタル教官が教えてきた 自信がある人に変わるたった1つの方法』より)
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 ここでは「折れる」ことを、結果的にある仕事や職をやり遂げられない状態に陥ることと定義しよう。実は「折れる」にも、2つのパターンがあることに注意するべきだ。

 1つ目は、中レベルまでのストレス状態で「折れる」場合。

 中レベルとはみんな苦しいが、それを我慢してなんとかやっている、やれている状態。現代社会で働く人々のほとんどが、この中レベルのストレス状態の中で仕事をしていると考えていい。この状況で「折れる」人は、一般的には、責任感がない、意欲がない、能力がない、小さなことで悩み傷つく、人に援助を求められないなどの特徴があるだろう。

「折れた状態の人」をたくさんケアしてきた私の経験でも、確かに半数は、このイメージの通りだろう。こういう人へのケアは、挫折したつらさを理解すると同時に、厳しい社会で生き抜いていけるような、社会人として必要な考え方や仕事の仕方を教えることが重要だ。

 ところが、残りの半分は、能力があり、責任感と意欲があり、少々の挫折にはへこたれず、困ってもすぐに他者の援助を受けられる、そんな「折れそうもない人」が折れているのだ。

 これが2つ目の、高レベルのストレスで「折れる」場合だ。高レベルになるには、強度と時間が関係してくる。中レベルのストレスでも、それが長く続けば高レベルになってくると考えてほしい。