日系企業が中国企業と合弁する際、必ず突き当たる壁が現地社員の心をどうやって掴むかだ。23年前に、東方航空と合弁で上海国際機場賓館(上海インターナショナルエアポートホテル)を立ち上げた麻生憲剛総経理は、当時背水の陣を敷くために、自分以外の日本人を全て日本に帰したという。「中国に入り込むためには、1人でやるべきだ」と唱える麻生総経理が、中国との合弁企業で人心を掴むコツを教えてくれた。
東方航空と合弁で上海国際機場賓館(上海インターナショナルエアポートホテル)を設立した麻生憲剛総経理は、日中合弁ビジネスのパイオニアの1人といも言うべき存在。現地の懐に飛ぶ込むことの重要性を指摘する。
――麻生さんは、いつ頃から当ホテルを運営・経営されているのでしょうか?
23年前、東方航空と合弁で上海虹橋空港に上海国際機場賓館(上海インターナショナルエアポートホテル)を設立して以来、私は総経理として経営・運営に携わっています。
また弊社は、ホテル以外にも「シャロン」という日本食レストランを、上海、北京などのショッピングセンターやゴルフ場などで運営しています。
――日本人と中国人の宿泊客のニーズは、違いますか?
私どものホテルの場合、メインのお客様は日本人ビジネスマンです。最近は上海万博のお陰で中国人のお客様も増えており、連日かなり高い稼働率を保っています。
日本人のビジネスマンのニーズは、「清潔で安心でき、食事が整っている」ことです。逆に中国人の方は、「豪華で、面子をくすぐるVIP待遇(食事は2人部屋など)」のようなニーズがあります。
中国人のお客様が増えると、逆に外国人のお客様が減ってしまう傾向にあることや、中国人のお客様に対するサービス提供の費用対効果などを考えると、まだしばらくは日本人のお客様を主なターゲットとしてホテルを運営していくということになると思います。