追い詰められていると感じたとき、介護者に対して何らかの対応ができたかという質問に対して、81.6%のケアマネは対応できたと答えているが、対応できなかったと答えたケアマネのうち、「自分がどこまで関われば良いのかわからなかった」「負担を減らすために使える在宅サービスが見つからなかった」など、いかんともしがたい状況が見えてくる。

 冒頭に挙げた事例でも、妻を殺害した男性は83歳、妻は77歳だった。老老介護という言葉が登場して久しいが、報道されている事件が必ずしも特殊な事例ではないのではと考えさせられるデータだ。さらにショッキングな結果がある。「昨今、介護疲れによる事件が相次いでいますが、自分が担当していたケースで殺人や心中事件が起きてもおかしくないと感じたことがありますか」という質問には、過半数の54.8%が「ある」と回答したのだ。

危機的状況の在宅介護
ケアマネが求めるものは

 要介護者の希望を聞いてあげたいと思う介護者もいれば、受け入れ施設が見つからず、やむを得ずという介護者もいることだろうが、次第に追い詰められていく介護者を見るケアマネたちも、相当つらい立場だろう。

 介護者が追い詰められていると感じたケアマネに、そのときの介護者の様子を尋ねた(複数回答可)ところ、「利用者に対する暴力的な言動があった」58.6%、「夜に眠れないと悩んでいた」53.8%、「気分が落ち込み、以前より口数や笑顔が少なくなっていた」50.7%、「経済的に困窮していた」50.4%と、これまでの事件報道で繰り返し聞かされているような状況が、多くのケースで見られることがわかる。少ないながらも「『死にたい』など自殺願望と取れる言動があった」という回答もある。これでは事件発生を危惧するのも当然だ。

 ケアマネたちの危機感は、「追い詰められた介護者を支援するために特に必要だと考えることはどれですか」(複数回答可)という質問への回答にも見てとれる。「夜間や緊急時に対応できるサービスの充実」「在宅介護者への経済的支援」「介護者を支援するための新たな法律の整備や態勢作り」を挙げた人が多いが、用意された項目のすべてについて、4割を超えるケアマネが「必要」だと答えているのだ。

介護殺人・無理心中の危機をケアマネの過半数が予感<br />

 厚生労働省が昨年1月に発表した「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~」の中では、2012年段階で462万人と推計される認知症高齢者が、2025年には高齢者の約5人に1人という割合にあたる約700万人に達すると試算されている。現状においても、あらゆる施策が十分でないとケアマネたちは考えているようだが、在宅介護環境の整備は、これからの社会を乗り越えられるほどに進められるのだろうか。