果たして「先手必勝」なのだろうか。たとえば、世界のハイブリッド車の第一号となり、最もよく売れているトヨタ自動車の「プリウス」のように。それとも、いわゆる「後手の優位(second-mover advantage)」があるのだろうか。韓国の自動車メーカー、現代自動車(以下、ヒュンダイ)は後者であることを願っている。

日本にいると分からないが、現代自動車は米国や中国などで大攻勢をかけている。
Photo:ロイター/アフロ

同社がハイブリッド車開発競争に乗り遅れたことは間違いない。液化石油ガス(LPG)・電気複合の駆動系を採用した初代モデルは、韓国本国でもようやく昨年に発売されたばかりだ。ガソリン・電気複合の本格的量産車種「ソナタ・ハイブリッド」は、今年後半の登場となる。

だが、たとえスタートでは出遅れても、「ウサギとカメ」よろしく、先行する日本のハイブリッド車にやがては追いつき追い越すのが狙いだ――ヒュンダイの梁雄哲(ヤン・ウンチョル)研究・開発担当社長、李賢淳(イ・ヒョンスン)研究開発総括副会長をはじめとする同社上層部は、そのように主張している。

そのヤン・ウンチョル研究・開発担当社長とイ・ヒョンスン副会長は、ソウル郊外にある同社の南陽(ナムヤン)研究所で、筆者を含む少数のメディアのインタビューに応えて、ハイブリッド車拡充に向けた計画、さらには燃料電池の採用について語ってくれた。
(聞き手・構成/ジャーナリスト、Paul A. Eisenstein)

―失礼な言い方になるが、ヒュンダイはハイブリッド車開発競争にかなり出遅れた。これまでのところ、LPGと電気を使ったハイブリッド車を、台数を限定して韓国市場に投入するに留まっている。にもかかわらず、ここにきて、現在車載用電池としては主流のニッケル水素電池には見向きもせず最新のリチウムポリマー電池(リチウムイオン電池の一種)を採用し、ガソリン・電気のハイブリッド車「ソナタ・ハイブリッド」を投入しようとしている。ヒュンダイのハイブリッド車投入のロードマップはいったいどうなっているのか、競合他社も戸惑っている。

ヤン・ウンチョル研究・開発担当社長:その問いには、こう答えよう。

 まずは「ソナタ・ハイブリッド」の成功に向けて全力を尽くす予定だ。しかし、もちろん、新ハイブリッドシステムは他の車種にも拡大したいと考えている。

 また、(トヨタの「プリウス」のように)ハイブリッドに特化した車種の計画もある。さらに、プラグインのハイブリッドシステム(注:コンセントから直接充電できるタイプのハイブリッド車)を用意する可能性も否定しない。

イ・ヒョンスン研究開発総括副会長:とにかくハイブリッド車・水素エンジンの開発には、一財産を投じているということだ。