

経営者が直接データを分析できるようになると、業務の現場で入力されるデータの精度も向上する“副産物”が生まれるという。「これまでも、現場では意図的に間違ったデータを登録するということはなかったでしょう。ですが、なんらかの理由で丸めた数字を入れたり、不都合なデータを一時的に入れないことがあったと思います。タブローを使うと、そういう行為は直ちに異常値になって可視化されてしまうので、事実上できなくなると思います」
たしかに、隠すつもりがかえって目立ってしまうのでは、データに正直に入力するしかなくなる。結果的に問題への対処も早くなるわけだ。
タブローは、事業会社だけでなく、大学や病院などでも利用が広がっている。「公共性の高い施設でも、日々の経営がシビアになっているため、ムダはどこにあるのか、何が変化しているのかを視覚的に把握できることが評価されています。とくに大学は、米国ではすでにかなり浸透していて、授業でも広く使われています。日本も積極的に拡大を図っているところです」
また、日本は世界的に見ても、ユーザー会の活動が盛んなことも特徴だという。「ユーザー会の規模は世界一です。使い始めたばかりのユーザーから、“ジェダイ”と呼ばれる達人レベルの使い手まで、情報交換を活発にしています」
データの視覚化によって、経営者や従業員がビジネスに必要な数字の変化を即座に把握できるようなれば、過去のデータを加工した会議資料の準備に振り回されることなどなくなるかもしれない。今後は日本でも、タブローのような視覚化ツールが活躍する場はさらに増えるだろう。
(取材・文/ダイヤモンド・オンライン IT&ビジネス 指田 昌夫)