管理色を強めたとみえる
習近平経済学の具体的特徴とは

「習近平経済学(シコノミクス)」は徐々に注目を集めている言葉である。習総書記は過去の計画経済のような手法をとっていると見る向きもあるが、基本的には市場の役割を強化する第18期三中全会の路線を踏襲しつつ、独自のカラーも出している。その特色は「管理色の強い経済運営」ととらえられている。

 習近平経済学は初めから体系化されておらず、習総書記の経済関係の講話や発言から構築されたものである。習近平経済学の内容は次の五点であると筆者は考える。

 第一は、「新常態(ニューノーマル)」である。この言葉は習総書記が2014年5月に河南省視察の際に初めて使った言葉で、同年の中央経済工作会議で提起された。その特徴は、高速度の成長から中高速の成長への転換、第三次産業、消費を主体とする構造改革の推進、投資に頼った成長からイノベーションによる成長への転換である。「新常態」は現在の中国の経済政策関連の文書で必ず出てくる。

 第二は、政府が「身を切る改革」を断行して、余裕の出た資金を必要とされている分野、つまり国民生活の改善などに振り向けるということである。これは習政権の進めている反腐敗闘争、節約励行に関係している。これは2014年度から「政府活動報告」「財政報告」でもよく述べられている。

 第三に、「公有制経済を主体とし、非公有制経済を発展させる」という考えである。これはマルクス主義経済学に基づいた考え方で、民間企業は個人が資本を所有しているため資本主義的であり、国有企業は「みんなのもの」、つまり公的所有であって社会主義的であるというもので、中国共産党の一貫した考え方である。2015年11月23日、習総書記は中国共産党中央政治局集団学習会で、「公有制経済を打ち固め、発展させることはいささかも揺るぐことはない」と表明した。前出の国有企業改革の方針はこの考えに基づいている。

 非公有制経済について、今年の「政府活動報告」では、電力、電気通信、石油などの分野における民間企業の市場参入を奨励し、プロジェクト審査・許可などの面で国有企業と同等の待遇を受けられるようにすることを述べて非公有制経済が経済活動を行なううえでの環境整備を進めることを明確に述べている。

 さらに3月9日付けの習総書記の講話でも「公有制経済と非公有制経済は相互に補い合って成り立つものであり、相互に協力し合ってそれぞれの長所や役割を発揮させるものであり、排斥し合ったり、打ち消し合ったりするものではない」と述べて非公有制経済の発展にお墨付きを与えている。このねらいは、非公有制経済との競争によって国有企業の体質改善をはかることにあると筆者は考える。