ところで、私は今回の本で、(1)1次情報に当たる、(2)現地に行く、(3)当事者に会う、というベーシックな取材方法に徹しました。その結果、「こういう事実が分かりました」という数々の判断材料を提示しています。私は、ジャーナリストの仕事とは、ジャーナルする、すなわち「記録に残すこと」が重要であると考えています。やはり、集めてきた事実に語らせたいと思っています。

 現在はフリーランスなので、国内外の取材費はすべて自分持ちになる生活は楽ではないですが、丹念に事実を積み重ねることによって埋もれていた“真相”を掘り起し、世の中に対して問題提起してきました。あくまで私は、「このままでよいのか?」という材料をストレートに提示しているに過ぎません。

 5年越しで本を仕上げた著者としては、読者にツイッターやフェイスブックなどのSNSを使って、「私はこの本をこう読んだ」という感想などを世界に向けて発信してほしいのです。声を上げるというより、声を出すという感じで、一人ひとりが“我が事として考える”ことが重要なのです。「私の意見は異なるぞ」ということでも、「烏賀陽の顔が嫌いだ」ということでも構いません(笑)。

 日本の原発は、平和利用という側面だけを抜き出して推進された“歪(いびつ)な状態”で始まりましたが、すでに存在している設備です。いきなりゼロに減らすことは現実的ではないでしょう。しかし一方で、福島第一原発事故で被爆した人は約23万人もいて、今も約10万人が自宅に帰れない生活を送っています。被害の規模は、大都市近郊の中型都市が丸ごと1つ消えてしまったのと同じです。

 丸5年を迎えた今年も、3月11日前後は東日本大震災を振り返る報道が多々ありましたが、実は今も被災地を回って取材する記者は激減しています。私の願いは、「2回目の福島原発事故を起こさない」ことです。そのために原発災害を記録し続けています。過去の教訓を未来に生かすために書き続けています。

 本を手に取った読者は、ぜひ自分で感じたことをSNSで発信してください。