こうした空前の日本車ブームの影で、ドバイから持ち込まれた盗難車が紛れ込んでいる。4年前には、東アフリカ一帯でインターポール(国際刑事警察機構)と地元警察が連携して車の検問を実施したところ、1000台を超える車が盗難車だとされたのだ。その多くが、日本で盗まれドバイを経由でアフリカに運び込まれたものだった。盗難車とは知らずに買った所有者たち。その中には、かつて大臣を務めた国会議員や、ボストンマラソンで3連覇を果たした有名マラソン選手もいた。

 取材班は、日本からの盗難車を扱ったことがあるという販売業者に会うことができた。業者によれば、ドバイのパキスタン人業者が「合法的な車が欲しいのか、非合法な車が欲しいのか」と聞いてくる。「非合法」と答えると、偽造書類付きで格安で輸入できるという。その利益は莫大で、

「ランドクルーザー・プラドのような高級車なら、利益は110万円を下らない」

と、男は語った。 

あなたの愛車が、ある日アフリカで見つかるケースも。<br />日本発「盗難車」転売ルートを追う日本でもインターネット上で出回り始めた、イモビライザー破りの新型装置。車に接続するだけで盗難システムを解除することができるという。

 また最近では、イモビライザー破りの新型装置がインターネット上を通して日本国内に出回り始めている。車に接続するだけで解除することができる「赤い装置」。取材班は、赤い装置をインターネットオークションで販売している男の居場所をつきとめ、接触を試みた。

 取材に応じた男は、赤い装置の入手先は中国だと明かした。中国では、車の鍵をなくした時合い鍵を作るため多くの鍵業者が、この装置を持っている。それがインターネットで世界中に販売され、日本に流れ込んでいるのだ。男は、

「鍵屋の道具を売っているだけで罪悪感は一切ない」

と、うそぶいた。

 犯罪のグローバル化が進むなか、これまでとは全く違う発想での捜査体制の整備が早急に求められている。

(文:番組取材班 京戸英之)

取材を振り返って
【鎌田靖のキャスター日記】

 自分の愛車が突然消えてしまい、遥か遠くアフリカで発見される。そんなウソのような話が実際に起きています。今週は多発する自動車窃盗事件を追跡しました。

 私は事件取材の経験が比較的長かったので、自動車盗難事件といってもそんなに驚きません。珍しい事件ではないからです。でも注目すべきなのは最新のセキュリティシステムを搭載した高級車が狙われているという点です。