足の指を一本一本つまんで動かす
「石垣のぼり」と「足指チャンバラ」

 以前、高台にある家に頑固なおじいさんが住んでいましたが、その家のまわりに、2メートルほどの石垣がありました。

 玉石を巧みに並べたもので、表側には石の4分の1~5分の1ほどしか出ていません。

 その石垣に悪ガキどもが、はだしでのぼり、縁側のおじいさんに見つかって怒鳴られていましたが、石垣をのぼるには、足の指一本一本を自分の意志どお
りに動かせないとできません。

 足の指を広げ、石を包み込むように絡ませる動かし方ができると、手の力とともに軽々と身体を移動できるのです。

 最近は、「いつのころからか、ここをのぼる子がいなくなった。いったい子どもは何して遊んでいるのか」とおじいさんは嘆くようになりましたが、実際のところ、「外で遊ぶ、道端で遊ぶ、道のまん中でケンケン」などの風景が、以前より少なくなりました。

 家の前の私道ギリギリに入り込む車もあり、様々な弊害が子どもたちから遊びの世界を奪ったからです。

 足の動きと足の指の動きを、遊びの中に組み込んで、ぜひできるようにしてあげてください。
 足の指に割り箸を挟んで、“足指チャンバラ”をするのもいいでしょう。

 お母さんのほうがうまく動かせないときには、

「よく動くね。お母さんより上手だね。お母さんも小さいときに、もっと練習しとけばよかったね」

 とほめてあげてください。

 なお、靴を履くときには、しっかり左足と右足の違いを教えます。

 どちらかの靴を右足に履くか、左足に履くかをろくに教えもしないで、「それは違うでしょ、今持っているのは左足のでしょ」などと言ってしまうと、うまく履けるようにはなりません。

≪競博士のひと言≫
 二足歩行は人間特有のものです。幼児の場合、前歩き(前進)、横歩き、後ろ歩き(後進)、斜め歩きもできるようにしたほうが、歩く能力が高まります。
 これができると、見る世界が広がっていきます
 できるだけ早い段階で、外の世界を知って、行動することを覚えなければなりません。
 長時間歩くために、靴下を履いて靴を履くのは足の保護のためですが、その状態でもしっかり指を動かせるように訓練しましょう。

久保田カヨ子(Kayoko Kubota)
1932年、大阪生まれ。
脳科学の権威である京都大学名誉教授・久保田競氏の妻で2人の息子の母。約30年前に、日本における伝統的な母子相伝の育児法を見直しながら、自身がアメリカ在住時と日本で実践してきた出産・育児経験をもとに、夫・競氏の脳科学理論に裏づけされた、“0歳から働きかける”久保田式育児法〈クボタメソッド〉を確立。この20年で3000人以上の赤ちゃんの脳を活性化させてきた。テレビなどで「脳科学おばあちゃん」として有名。累計36万部突破のシリーズ『0歳からみるみる賢くなる55の心得』『カヨ子ばあちゃん73の言葉』『カヨ子ばあちゃんの男の子の育て方』『カヨ子ばあちゃんのうちの子さえ賢ければいいんです。』『赤ちゃん教育──頭のいい子は歩くまでに決まる』『カヨ子ばあちゃんの子育て日めくり』などベスト&ロングセラー多数。ズバッとした物言いのなかに、温かく頼りがいのあるアドバイスが好評。
【脳研工房HP】
http://www.umanma.co.jp/

 

久保田 競(Kisou Kubota)
京都大学名誉教授、医学博士。世界で最も権威がある脳の学会「米国神経科学会」で行った研究発表は、日本人最多の100点以上にのぼり、現代日本において「脳、特に前頭前野の構造・機能」研究の権威。2011年、瑞宝中綬章受章。1932年、大阪生まれ。
朝4時半起きで仕事をする「朝活」を50年以上実践。ジョギングは30年以上、毎日続けている。著書に、『新版 赤ちゃんの脳を育む本』『2~3才からの脳を育む本』『天才脳をつくる0歳教育』『天才脳を育てる1歳教育』『天才脳を伸ばす2歳教育』『天才脳をきたえる3・4・5歳教育』(以上、大和書房)、『あなたの脳が9割変わる! 超「朝活」法』(ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。