「妻=社長、夫=部下」が
ベストな関係である理由

原口『察しない男 説明しない女』に、「家庭においては妻が社長、夫が部下と考えたほうがうまくいく」と書かれていましたよね。たしかに、離婚相談にいらっしゃる方々を見ていると、奥さんがしっかり実権を握っている家庭はたいてい家庭円満なのですが、その関係が逆転しているケース、つまり「ご主人が社長、奥さんが部下」になっているときに、モラハラやDVが起こることが多いですね。

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『察しない男 説明しない女』(五百田達成[著]、ディスカヴァー・トゥエンティワン、本体1,300円+税)

五百田:そもそも、男性は家庭の経営には向いていないんです。もっとたくさんの人や金を動かしたいという気持ちが強いから、家庭サイズの経営には身が入らない。うまく家庭をまわしたからって年収も社会的評価もあがらない。で、あれば、お互い割り切って家では女性が上にたって、男性をうまく使っていくのが一番円満になると私は考えているんです。

原口:女性の離婚相談で多いのは、五百田さんの言葉を借りれば「ご主人の家庭に対する経営方針に不満がある従業員」の図なんです。自分が所属している会社がいかにひどいか、自分がどれだけ冷遇されているかをぶちまける女性がすごく多い。でも、いざ「じゃあ、あなたが経営者だとしたら、どんな会社を作りたいんですか?」と聞くと、驚くほどノープランだったりします。「自分の会社を作っていいんですよ」「旦那さんをスタッフだと思っていいんですよ」と言うと、「そうか、私は家庭を経営していいんだ」とハッとされるんです。

五百田:実際、女性に「家庭ではあなたたちが社長だから」と言うと、最初は「経営なんてムリ」って思う人が多いです。でも、まずは小さく個人事業主からスタートするつもりで家を仕切って、夫をいい部下に育てていく。男は家庭では基本「指示待ち族」なので、うまく育てて一人前にしていく。

原口:それまでご主人に依存していた人でも、「この会社は自分の会社」と決意すれば、たくましくなっていきます。そのほうが、絶対に家庭円満になる。

五百田:男性も部下としてちゃんと家庭で役割を果たす。でもそれは、「奥さんを大切にすべきだ」とか、「子どもを愛したほうがいい」というエモーショナルな話ではありません。やはりリスクヘッジなんです。「妻子がいます」という社会的立場を保ち、離婚調停で疲弊しないための

原口:離婚調停になったら、時間とられますからね。養育費もお給料から差し引かれていきます。

五百田:だから、新しい女性を新規開拓しようとか思わないほうがいいんじゃないかなあ、と思うんですよ。奥さんという最大の既存顧客との関係を大切にメンテナンスしていく。

原口:今あるリソースを大切にすると。

五百田:そう。限りあるリソースを知恵と工夫でうまく回す、というのは本来日本人が得意な経営スタイルですから(笑)。ぜひ、取り組んでいただきたいと思います。

(了)