なぜ、日本では3組に1組が離婚してしまうのか? 新刊『こじらせない離婚』が話題の女性弁護士と、男女のコミュニケーションを熟知した心理カウンセラーが、離婚しないためのポイントをあぶりだしていく特別対談、最終回!
(構成・佐藤友美/撮影・竹内洋平/聞き手・今野良介)
第1回
夫「誰が食わせてやってると思ってる!」妻「いや、財産半分私のものです」
五百田達成×原口未緒「離婚しないための心理学」対談(第1回)
第2回
なぜ、妻の浮気はバレにくいのか?
五百田達成×原口未緒「離婚しないための心理学」対談(第2回)
夫は、いつ「父親」になればいい?
__前回に続いて、離婚の原因となる「浮気」についてお話いただきたいのですが。子どもが生まれたことで「母親」になった妻に対応できず、浮気に走るケースもあるようです。先日の乙武洋匡さんの不倫釈明会見でも「妻を女性として見られなくなった」という言葉がありました。
原口:女性は子どもが生まれると、夫に向けていたエネルギーが全部お子さんに向かってしまうんですよね。それが寂しくて浮気に走る男性は多いです。
五百田:男性はどんな場所でもナンバーワンになりたいという思いが強いですから、子どもにその座を奪われることを受容できないのかもしれません。
原口:以前、象徴的なケースがありました。家にお腹を空かせているダンナさんと子ども2人がいて、奥さんがパートから帰ってきた。先に子ども用のご飯を用意したら、旦那さんが「なんで子どもの食事を先に出すんだ!」とブチ切れて包丁を振り回しちゃったんです。結局警察を呼ぶことになって、そのままDVで離婚成立しました。
五百田:なんと……。一瞬で家庭崩壊ですね。
__一般的に、女性は子どもが生まれた瞬間「母」になると言われますが、男性はいつ父親になるのでしょう。何を意識すれば、母親になった女性とギャップを埋めて、円満な家庭を築けるんでしょうか?
五百田:正直なところ、男性は、一生父親になんてなりたくないんじゃないかと、にらんでいます。本当はずっと子どもでいたい。少年野球の延長で仕事をがむしゃらにやって、夜になったら母親のいる家に帰っていくように、奥さんにその母親役をやってもらいたいと思っている男性は多いです。
原口:私も、男性が自然発生的に父親としての自覚を持つのって難しいと思いますね。最近、Facebookにお子さんの写真を載せるような「イクメン」が増えているじゃないですか。あれは、赤ちゃんを抱っこして育児に参加している自分の写真を対外的に公開することで、「父親になった」という感情を固定させる手助けになっていると感じます。
五百田:たしかに、育児に参加すればいずれ子どもが可愛く見えるようになるという側面はあるでしょう。コミットメントを増やすのは、ある程度有効です。ただし、男性はそれを理屈で納得できないとなかなかやる気が起きないのも事実です。そこで私が使うたとえ話は、「子どもは家庭という企業が生み出している商品。その商品価値を高めるために尽力すべき」ということです。
原口:2人で生み出した「商品」の価値を高めると考えよう、というわけですね。たしかに、ご主人が育児に協力的じゃない家庭ほど、奥さんがお子さんを1人で囲ってしまっている状況があると感じます。
五百田:生まれたての赤ん坊を抱える妻の場合、酒を飲んで酔っ払って帰ってくる夫をバイ菌のように感じてしまう、と聞いたことがあります。大切な赤ちゃんを、外からやってきた雑菌に触れさせたくないと。
原口:ありますね(笑)。本来なら、仕事をしないで育児をできているのも旦那さんが仕事してくるからだ、と発想転換できればいいのでしょうけれど。
五百田:女性の側も、そうやって出資者へのサービスだと割り切れれば、夫にちょっと子どもを触らせるくらいいいか、と思えるかもしれませんね。
原口:そうですね。配当を与えるようなつもりで。
五百田:でも実際は、旦那が子どもを見て「かわいい、かわいい」と言っていたとしても「あんたはいいよね。一瞬だけかわいがってればいいんだから。こっちは24時間一緒で大変なんだよ!」と思ってしまう。
原口:「あなたの子どもなんだから、ちゃんと世話をして」と言いつつ、実際は触らせもしない女性は、たしかにいますね。
五百田:「毎日夜泣きをあやしているのはこっちなんだよ」という女性の気持ちもわかります。でも、そういう女性だって、離婚したくないのなら、ちょっと考え方を変えてもいいはずです。なんだかんだいって、いざというときに車を出してくれる人手は必要なわけですから(笑)。