子どもを可愛がっていた夫婦が
なぜ、熟年離婚してしまうのか?

五百田:僕の友人で、奥さんと子どもと「川」の字になって寝るときに、真ん中に子どもを置くのではなく、端っこに子どもを置いて寝るようにしている男性がいます。彼曰く、「夫婦のパートナーシップがあってこその家庭だし、子育てだ」、と。

原口:それは、日本では珍しいケースかもしれないですね。

__海外では、小さい頃から子どもが寝る部屋は夫婦と別、という家庭も多いようです。

原口未緒(はらぐち・みお弁護士。1975年東京都生まれ。夫婦・離婚案件を主に扱い、相談件数は350を超える。13年より業務にコーチング・カウンセリング・セラピーなどの手法を取り入れ、「心もケアする弁護士」として奮闘中。自身も離婚経験がある。初の著書『こじらせない離婚』が注目を集めている。

原口:海外では子どもが生まれても、夫婦生活を大事にしますよね。たとえばフランスでは「結婚=性交渉」なので、セックスレスになったら離婚することが多いと言われます。でも、日本では奥さんが性の対象じゃなくなっても家庭を維持しようとするから歪みが出るのではないかと。風俗店がこんなにいっぱいあったりして。

五百田:先ほどの友人は、「何はともあれ奥さんが最優先だ」と言い切るんです。もちろん子どもは可愛いけれど、自分たち2人がベースだと。

原口:そうやって家族の時間を積み重ねていけば、熟年離婚などはおこらないのかもしれません。

五百田:「子はかすがい」と言いますが、かすがいなしでも、家が建っていなきゃマズいわけですから。

原口:そのとおりです。

五百田:夫婦って、二人で共通のプロジェクトをいくつも乗り越えて、いつしか戦友みたいになっていくものだと思うんです。だけど、そのプロジェクトのが「子育て」だけだったとしたら、子どもが家を出て行ったとき「あの子、可愛かったな」と過去ばっかり振り返る夫婦になってしまう。

原口:夫婦だけで関係を築くことができなくなってしまうんですね。

五百田:それを避けるためには、子どもがいる時から、ちゃんと2人の時間を確保しないといけないでしょう。