実は、発売3カ月前に公告される委託先の募集に対して、手を挙げる金融機関がそもそも、みずほ銀しかいないのだ。

 毎年1兆円近いお金が動くビジネスにおいて、統括するだけの人員とシステムの整備は、ほかのメガバンクにおいても簡単にできるものではない。それが、事実上の参入障壁の一つになっているともいえる。

包括受託が生み出す強大な権限

 協議会から包括的な権限委譲を受けているみずほ銀は、各業務をさまざまな事業者に発注、または再委託している。

 宝くじ券の印刷は凸版印刷、運送は日本通運、抽選機材はNHKアート、抽選システムは日本宝くじシステム、宣伝は電通などといった具合だ。

 中でも、ボリュームが大きいのが販売(売りさばき)業者だ。14年度で1096社あり、店舗数は宝くじ専業だけでも3600店を超える。それらを全て、再委託先の事業者として、みずほ銀が管理しているわけだ。

 これだけでも大変な事務量だが、そうした作業を請け負うことによってみずほ銀が受け取る報酬は、特にないという。

 先の図「「宝くじ村」の構図」にあるように、協議会から委託を受けて、みずほ銀は売り上げの中から1200億円超もの資金を各事業者に支払っているが、コスト削減などで浮いた分の経費は、発売元の協議会に返還する必要がある。実際に14年度は、19億円を返還した。

 そのため、みずほ銀としての利益になるのは、あくまで一販売業者として宝くじを売った分の手数料しかない。

 手数料率は、300円くじは6.3%などと、法律であらかじめ規定されているので、そこから人件費や物件費などを引けば、利益率はさらに低くなる。

 宝くじ業務をめぐっては、みずほ銀の利権になっているという指摘が一部である。だが、電通など発注先企業との関係強化、受託によるみずほ銀行宝くじ部の人件費捻出という意味でのメリットはあっても、利権というほどのもうけ(業務純益)が、銀行本体にもたらされているわけではないようだ。

宝くじ業務の心臓部は都内某所の施設

 ビジネスとしての実入りは多くない宝くじだが、年末ジャンボだけでも真夏の7月ごろから印刷を始め、5億枚以上を流通させるなど業務は煩雑だ。

 その業務を一手に引き受ける、みずほ銀の「心臓部」ともいえる施設が都内某所にある業務センターだ。

 印刷された宝くじ券は、業務センターにいったん集められ、全国のみずほ銀の支店約70カ所に、一斉に日通が配送している。

 宝くじは有価証券ということもあって、厳格な取り扱いが求められる。そのため、基本的に各販売業者に直送することはない。各支店に配送された宝くじ券を、各業者が受け取りに行き、それぞれの店舗まで運ぶという仕組みにあえてしているのだ。