もちろん、職場を離れた夜の飲み会などでは「うちの上司はひどいものだよ」と愚痴の材料になっていたことでしょう。それでも面と向かっては「わかりました」「そのようにします」「以後、気をつけます」と部下の気遣いで丸く収まっていたことがほとんどでした。

 ただ、時代は変わり、部下も不満を態度として示すようになりました。さすがに直接文句を言う部下は少ないかもしれませんが、モチベーションが下がり、態度や言動がネガティブになったりします。例えば、上司と目を合わせずにうつむいている。あるいは発言する声が小さく、抑揚がないトーンで話す…。こうした部下がいると、職場の活気は失われます。

 マイナビが管理職や後輩がいる社会人を対象に行った調査によると、「個人や組織でも目標を達成するために、モチベーションは必要であると思うか」という質問に89.2%の人が「はい」と回答。さらに、「職場のモチベーションは、上司の資質に左右されることが多いと思うか」という質問には、81.2%の人が「はい」と答えています。この結果からも、上司には部下のモチベーション向上を期待されていることが明らかです。

 ところが、同調査で部下・後輩のモチベーションを上げようとして「失敗した経験がない」と回答した上司・先輩社員は83.0%にも上ります。上司としての自分のマネジメント力に自信があるのでしょう。ただし、その自信は正しいのでしょうか?

「君はいつもそうだ、あのときも…」
ミスを蒸し返す上司の常套句

 部下のモチベーションを下げる上司の行為は、いくつもあります。そのなかでも今回は、筆者の周囲でもモチベーションを下げられたと嘆く人の多い、「過去のミスを蒸し返す行為」に注目することにします。まずは代表的なケースを紹介しましょう。

 取材したのは、飲食業界に勤務しているSさん。新卒で入社したイタリアンレストランチェーンの店舗に配属されて3年目。接客は楽しいのですが、職場の上司の言動には頭を痛める毎日です。もちろん自分にも非があるのでしょうが、耐え難いのが過去のミスを何回も蒸し返して怒ること。

「些細なミスを過去のミスと関連付けて長々と注意するので気が滅入ります」(Sさん)