周囲に相談すれば
自分のスキルも上がる

──とはいえ、介護者による虐待や心中事件など、暗い問題が絶えません。どうしたらよいのでしょうか。

 認知症高齢者の介護を抱え込んで悩む人に向かって、主人公であるヘルパーの少年が「独り占めはズルいっス」と声を掛けるシーンがありますが、とにかく、介護に直面したら、一人、あるいは家族だけで抱え込んでは駄目だと思います。介護の問題は十人十色なので、かゆいところに手が届くような完璧な解決策はなかなか見いだすことはできません。それでも、困ったことがあれば、ためらわずにSOSを出し、諦めずに人に相談し、走り続けることだと思うんです。

 一人で抱え込んでも、スキルは上がりません。相談すれば、自分も周囲もスキルアップしていきます。現在、『週刊朝日』では、排せつの問題をテーマに連載しています。取材をしてみると、排せつという誰でも分かっているつもりのことが意外と知らないことばかりで驚きます。

 とにかく、頑張り過ぎないこと。完璧にやれなくて当たり前。困ったことがあれば、介護のプロや周囲の人に頼ってよいと思います。決して「1対1」にならず、その間に他の人をかませる。場合によっては癒やしとなるペットでもよいので、「三角関係」をつくることですね。

──ご自身の仕事も忙しいと思いますが、ストレスはどのように解消していますか。

 漫画家は自由業なので、あまり過剰なストレスは感じません。スポーツ観戦や映画が好きですが、現在、はまっているのが、ボードゲームのバックギャモンです。地元の高知県でも昨年5月に、「高知バックギャモン愛好会」の立ち上げに関わり、メンバーとして例会に参加しています。

 将来、バックギャモン・デイサービスというのを自分でつくって、楽しく老後を過ごそうかな、と妄想しています(笑)。

くさか・りき/1980年に漫画家デビュー。2003年に講談社『イブニング』で、介護をテーマとした漫画「ヘルプマン!」を連載開始。11年に第40回日本漫画家協会賞大賞を受賞。14年末からは朝日新聞出版『週刊朝日』に発表の場を移し、「ヘルプマン!!」を連載中。「ヘルプマン!」「ヘルプマン!!」は、高校を中退し介護の世界に飛び込んだ恩田百太郎、神崎仁の二人の若者が、高齢者介護のさまざまな現実に直面し、それを乗り越えていくストーリー。その内容は介護の現場や制度が抱える問題点や矛盾点などをリアルに描き、介護系の専門学校では“テキスト”として活用されるほど。代表作に「ケイリン野郎」などがある。高知県在住。
 

※ダイヤモンドセレクト2016年5月号「安心できる施設はどこだ! 最新版 老人ホームランキング 都道府県別 2930施設」から一部を抜粋し、転載しました。内容は取材当時のものです。