死因の9割は圧死と窒息死
どうすれば部屋を安全な空間にできるのか

 取材の結果、「これから熊本地震がどういった動向をみせるのか」「さらに別の場所でも地震が連鎖するか」については、今回の地震では九州を横断する広い範囲でまれに見る高い地震活動が続いており、引き続き注意が必要とのことであった。

 また、活断層で地震の可能性が高いことが分かっていても、それが果たして『いつ起きるか』となると、科学が進んでも、どんな専門家でも判断が難しいということが分かった。しかし、それに関して古村教授はさらにこう続ける。

「現在、日本にある2000本の活断層のうち、活動度が高い100本あまりについては、国によって優先的に調査が進められています。そして、その中には、今回の日奈久・布田川断層帯も入っていました。そして、活断層の場所や地盤の揺れやすさなどの調査結果をもとに各地の震度が推定され、ハザードマップとして公表されていました。つまり、『いつ起きるか』は分からずとも、危険度が高い地域と、起きた時の震度、そして想定される被害は、おおよそ分かっているので、具体的な対策を立て、いつか必ず起きる地震に備えることはできるのです」

「阪神・淡路大震災のときもそうでしたが、死因の9割は住宅倒壊による『圧死と窒息死』なのです。今回もそうでした。つまり『地震で人が亡くなる』のではなく『潰れた家で人が亡くなる』のです。家の耐震化をはかり、家具を固定するなどして部屋の中を『安全な空間』にしない限り、地震災害から逃れることはできません。水や食料の備蓄はその次の話です。地震が怖いのは、それが突然起きるからです。ですが、家を強くすれば、地震は怖くなくなるのです」

 さらに、先の渡辺教授も、地震対策についてこう言及している。

「熊本地震では多数の家屋が壊れましたが、それらの多くは活断層の真上か、その数百メートル圏内です。ですから一度、国土地理院がネットで公開している『都市圏活断層図』を見て、住んでいる地域の活断層を確認していただくとよいでしょう、縮尺が2万5000分の1なので、家を一軒一軒、ちゃんと識別できます」

 今回のような大震災が起きると、「大地震はいつ起きるのか」と不安を募らせ、そればかりを考えるあまりに、無気力になってしまう人も多いという。だが、それでは我が身と、大切な家族を危険から守ることはできない。目をそらさずに必要な情報をしっかりと把握し、万全の対策を講じることこそが、地震に対する正しい心構えなのではないだろうか。