4月に起きた熊本地震では多くの家屋が倒壊し、改めて地震の恐ろしさを見せつけられた。我が家がどの程度地震に持ちこたえられるのか、どうしたら見分けられるのだろうか?
耐震同様に気をつけるべきは
家が建っている「地盤」
「うちの家は大丈夫なんでしょうか?」――。不動産コンサルティング会社・さくら事務所には連日、こんな問い合わせの電話が殺到している。特に不安の声が大きいのが戸建ての木造住宅だ。
熊本地震の被災地では49人が亡くなった。大半が家屋の倒壊によるものだ。首都直下型地震や南海トラフ巨大地震、東海地震など「必ず来る」と言われる地震だけでなく、日本全国には分かっているだけで2000もの活断層があるだけに、「取れる対策はしておきたい」と考える人が増えているのだ。
「住宅の耐震性能はもちろんですが、意外に知られていないのが地盤。堅い台地の上に建っているのか、それとも土を盛って造成した『盛土地』なのかによっても、揺れやすさがまったく違うのです」。長嶋修・さくら事務所会長は、こう話す。
東日本大震災直後は、余震が繰り返し起きて、東京も大きく揺れた。しかし、「同じ地域にある、同じ耐震基準のビルであっても、震度4で揺れたことすら体感できないビルもあれば、飲食店の店子のグラスが落ちて割れたビルもある。これはひとえに地盤の違いなんです」(長嶋会長)
自宅の地盤を知るツールの1つに、国土地理院の「土地条件図」がある。試しに東京都心を見てみると(下図参照)、山手線の線路を境に、左側の千代田区や港区には、オレンジ色が広がっており、反対側の中央区や江東区、墨田区などは赤の斜線になっている。このオレンジ色は「台地」、赤の斜線は「盛土地・埋立地」を意味している(詳しい凡例はこちら)。
地盤が堅く、揺れにくいのが台地。一方、盛土地や埋立地、切土地(山地や丘陵地などを切り開いた平地)といったところは揺れやすい。
もう1つ、各自治体がまとめている「ゆれやすさマップ」もある(Jコーポレーションがまとめたリンク集はこちら)。また、全国の都市部限定ではあるが、国土地理院の「都市圏活断層図」も参考になる。
日本全国には活断層がおよそ2000ある。しかし、地震学者は「ただ調査できていないだけで、実は6000もの活断層があると言われている」と話す。つまり、こうしたマップで揺れにくい地盤で、かつ活断層の上でないことが分かったとしても、それで“絶対安全”とは、残念ながら言えないのだ。とはいえ、分かっている活断層だけでも避けることには大きな意味があるだろう。