今や世界的なIT企業がこぞって採用をしたがるインド人。インド工科大学(IIT)は、マサチューセッツ工科大学(MIT)を超えるとも評される。インドの発展を妨げていると言われる「カースト制度」が、ITに関してはプラスに働き、優秀な人材を輩出することに影響を与えているのだ。

フェイスブックやグーグルも注目!
インド最高峰工科大「IIT」の凄み

 現代のIT産業において、インドはひときわ強い存在感を放っている。その勢いは凄まじく、グーグルやサンディスク、アドビなど、数多くの著名なIT企業がインド人をトップとして頂くのみならず、IT界の巨人・マイクロソフトに至っては、その社員の36%までをインド系人材が占めているという。今や世界のプログラマーの約1割はインド人であるとさえ言われる。

フェイスブックやグーグルは約1400万円もの年収を提示して、IIT卒業生を獲得しようと熾烈な競争をしている(写真はイメージです)

 新興国であるインドが、IT産業においてこれほどまでに目覚ましい成長を遂げることができた理由はどこにあるのだろうか。実は、その大きな要因のひとつに、ヒンズー教の「カースト制度」があるという。

 最先端の技術と、紀元前から伝わる慣習。一見相容れない両者にどのような関連があるのか。経済や文化など、様々な側面からその謎を解き明かしてみたい。

 インドから優秀な人材が輩出する理由として、高等教育の充実ぶりが挙げられる。なかでもインド工科大学(=以下、IIT)の教育水準の高さは群を抜いており、その名声は世界中に轟いている。昨年グーグルの代表に就任したサンダー・ピチャイ氏や、ソフトバンクの副社長であるニケシュ・アローラ氏も同校の出身だ。

「IITの教育レベルは世界的にみてもトップクラス。例えば、IITを不合格になった者が『仕方なく』マサチューセッツ工科大学に入学するといった話もあるぐらいです。IT業界にとって、インドは非常に優秀な人材のプールとなっているんですね」

 こう語るのは、エコノミストの伊藤洋一氏。氏によると、世界各国のIT企業の多くが、IITの卒業生を獲得するために熾烈な争いを繰り広げているという。実際、フェイスブックやグーグルは、年収として700万ルピー(日本円で約1400万円)もの額を提示している。

 インド国内では、エンジニアの平均年収は約100万円程度なので、この金額はまさに破格だ。高待遇に惹かれ、活躍の場を海外に求めるエンジニアは引きも切らない。