例えば、メーカーに勤めるCさんは、30代の頃は夜遅くまで働きづめの毎日でした。それでも何とかやり繰りできていたのですが、40代で管理職となり、小さな子どももいることから、もはやそのままでは仕事も生活も立ち行かない状態でした。
しかも、そんな中でもCさんはずっと英語の勉強をしたいと考えていました。けれど現実にそんな時間はなく、何とか捻出できた夜の時間では疲れ切って集中力が続かないというありさまでした。そこでまず、これまでの「夜の時間」をすべて諦めることにしました。よほどのことがない限り、夜の付き合いもやめたそうです。
そして、「朝の時間」に活動時間を集約しました。朝に時間を「多く配分した」のです。これまでの生活サイクルの延長で、夜に勉強の時間を捻出しようとするのをやめて、「英語の勉強時間」を確保するために、一日の時間配分を変えたのです。
Cさんは夜10時には子供と一緒に寝て、朝は5時半に起床することにしました。子供と一緒にいる時間を大切にしたいという思いも、Cさんがずっと抱えたまま実現できないことでした。そして、子供が起きてくる6時半までに英語の勉強を集中して行い、その後、家族と朝食を食べ、8時半には会社に向かいます。
また、帰りの時間を遅らせる元凶となっていたデスクワークを徹底的に午前中に集約させて、その時間内で終わらせることを自分に課したそうです。それまでは、残業のもとになる仕事を午後や夕方から始めて、結局終わらずに帰宅時間が遅くなるという繰り返しだったそうですが、スタートを早めたことで問題はかなり解消したと言います。
結果、仕事は変わらずきちんと行いながら、始めた当時は600点台だったTOEICは800点を超え、子どもとの時間も十分とは言えないまでも確保することができるようになったと言います。
ほとんどの人は、やりたいことと現実の時間割が一致していないことが問題です。それを一致させるには、一日の時間割の中で、何に多く時間をかけるのか、かけないのかの配分を最初に決めることが、時間の使い方において、まずは大切なことです。
Cさんの場合、プライベートでは英語の勉強と子どもと一緒にいること、仕事ではデスクワークに朝の時間を回し、逆に夜の付き合いの時間を諦めていました。それは24時間という持ち時間の中で配分を変えた結果です。
仕事においても、自分の仕事で重要なことが企画を考えることなら、そのことに多くの時間を配分しなくてはいけません。日々の雑務に追われながら、余った時間で企画を考えるというスタイルでは、とても十分な時間を捻出することはできないでしょう。
そのためには、自分が何をやりたいか、何を優先したいかという価値観で優先順位を決める必要があります。どの時間の割合を増やすかに正解はありません。それが決まらない限り、どれだけ細かい効率化の技術を学んでも、現実の中ではやりたいことは決してできないと、諸先輩たちは口を揃えます。
40代は仕事や家庭、趣味もトータルに考え、自分にとって重要なことと、そうでもないことのトレードオフを意識しながら、これまでとは違う新しい配分で時間割をつくり直すようにしましょう。
第4回に続く(6/1公開予定)