もちろん、グループではなく個人のアイドルも出てきている。興味深いのは、特定のスポンサーがいなくても(プロダクションに所属していなくても)、直接ファンからお金を得る仕組み(ネット上での課金システム)も出来上がっているという点だ。

 まるで「ネット空間のおひねり」のような課金システムは複雑なので、ここでは説明を省くが、ネット上で「おひねり」を次々ともらえるようなアイドルになれば、組織を通さなくても、瞬く間に数千元、数万元という大金を手にすることができる。

 日本にもプロダクションに所属しない「地下アイドル」は存在するが、日本よりもネット課金が発達している中国では、アイドルもネットで稼げる時代になった。中国語で「自媒体」(自分の媒体)という言葉も流行っており、自分で撮影・配信した動画がSNSなどで話題となれば、トップアイドルになることも夢ではないのである。

アイドル文化が花開いたのは
中国経済の悪化が要因!?

 これらの話を聞くと、日本とはまったく異なる形で、しかもネットを駆使する方法で中国のアイドル文化が形成・成長し始めていることがわかり驚嘆する。その一方で、別の視点からアイドル文化を解説する人もいる。中国で「アイドル文化が花開いた背景には、経済悪化という要因があるのではないか」という説だ。

 上海在住の30代前半の中国人男性は、日中のアイドル文化の歴史にも詳しく、日本に住んだ経験もある。彼いわく、「中国経済が悪化しているこの時期だからこそ、人々は心の癒しを求め、アイドルに安らぎを求めているのではないか」と、いうのである。

 彼の言説によると、1929年の世界恐慌の頃はウォルト・ディズニーがミッキーマウスを生み出した頃とほぼ同時期で、アメリカでトーキーが誕生したり、アカデミー賞の授賞式が初めて行われた。ハリウッドができたのもこの前後だ。