IoTがビジネスを変える!|ダイヤモンド・オンライン
ヒントはここにあった!先端ITで日本企業の未来を変える
【第19回】 2016年6月20日
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安間 裕 [アバナード株式会社 代表取締役]

IoTがビジネスを進化させるのに
欠かせない2つの視点

 2つのことを兼ね合わせると、現在のクラウドを活用したIT投資は、「アジリティ」をもたらし、かつ、それがプロセスの改善を伴うものであればあるほど、生産性の向上に寄与するということだと思います。

 先日、我々が毎年シンガポールで行っている「Executive Business Connect(EBC)」というイベントで、ハーバード・ビジネス・スクールのKevin Ashton教授(初めて「IoT」という用語を世の中に出したとされている方です)は、「地球の総人口の推移」と「道具の進化の曲線」の類似性と、「データ量の増加」と「ITの進化」のそれが酷似していることを挙げていました。

人類の道具の進化と、人口の増加(アバナード社内作成資料より)
デジタルツールの進化と、データ量の増加(アバナード社内作成資料より)

 このことは、ニワトリとタマゴで、「人口が増加」したから「道具が進化」したとも言えますが、他方で「道具が進化」したから生き延びられる「人口が増加」したとも言えます。

 つまり、機器の進化によって捉えられるデータの種類と量が増加したから、それを活用した「ITが進化」したとも言えますが、「ITが進化」すると、扱えるデータ量が爆発的に増え、見えないものが見えるようになってくる、そのことが更なるデジタル革命を推進するということも、また真なのだろうと思います。

 もう1つ、そのイベントの中で議論されていたのは、「IoTの作り方」でした。

 「IoTの作り方」には、「進化した機器からその活用法を模索する方法」なども含め、様々なものが議論されていますが、もっとも当たり前なものは、プロセス・オリエンテッド・アプローチだと思います。

 これまでのBPRの分析手法でオーソドックスなものは、「As-is」、つまり現状のプロセスをいろいろな手法を使って可視化し、それをもとに「無理・無駄」や「適正な順序」などを分析し、「To-be」、つまり、あるべきプロセスを定義するというものでした。

 この「To-be」プロセスを、IoTを当てはめて最適化する、または正確性を向上させるというのが、もっとも簡易で適用しやすい作り方だと思います。

 工場の機器メンテナンスが分かりやすい事例なのではと思います。

 As-isでは、従来は各機器の状況を「チェック表」などを使って人間が確認し、それをコンピュータに入力していたものを、IoTにより自動認識し、保守のタイミングなどもより正確に予測、指示することができるようになりました。

 あるプロジェクトでは、IoTを導入する前に、「もし機器がここまでの詳細なデータをこれまで以上の頻度で自動認識したらどうなるか」を、人間の手で試行し、効果を測定すると、それだけでも非常に大きな効果をもたらすことが分かってきています。人間の手で行い続けることは、ROI的に不可能なのですが、IoTであれば、十分なリターンが望めます。

 これは、プロセスにIoTを組み入れることの価値であり、高地様の「BPRを伴うIT投資の有効性」の議論とよく似ていて、プロセスの改革を伴うIoTの活用が、大きな効果を上げるということにつながります。

 日本企業も、こういった示唆から、デジタルやIoTを活用し、プロセスイノベーションを起こし、世界で勝ち抜く企業になってほしいと思っています。

SPECIAL TOPICS

安間 裕 [アバナード株式会社 代表取締役]

団体系保険会社、外資系商社を経て、1998年にアクセンチュアに入社。その後外資系広告代理店を経て2001年に再度アクセンチュアに入社、アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズの設立に携わり2002年8月に同社代表取締役社長に就任。2009年アクセンチュア執行役員アウトソーシング本部長、2010年執行役員ビジネスプロセス・アウトソーシング統括本部長を歴任。副社長としてフューチャーアーキテクトの経営に携わった後、2014年4月にアバナードに入社。1982年明治大学文学部文学科フランス文学専攻卒。1959年生まれ。


ヒントはここにあった!先端ITで日本企業の未来を変える

IT業界のフロントランナーである筆者が、日本企業の経営やビジネスの最前線で働く人々に向けておくる連載第2弾。昨今のITで起きていることを、いわゆる「Buzz Word(はやり言葉)」としてではなくビジネスの言葉で解説。客観的データを基にした冷静な分析で、今日から仕事への意識を変えられるヒントを提供する。

「ヒントはここにあった!先端ITで日本企業の未来を変える」

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