BOEだけではない。大手の華星光電(CSOT)が11世代の工場を計画するなど、中国の大手パネルメーカーが政府の後ろ盾を得ながら、こぞって工場投資に猛進。18年には、生産能力で中国が世界で首位になり、液晶で一大帝国を築き上げることになる。
そうした中国の国を挙げた投資競争に、世界経済の減速が重なったことで、供給過剰に拍車が掛かり、液晶パネル価格は暴落し始めている。民間調査では、32型の液晶パネル(オープンセル)で昨年4月に90ドル前後だった平均出荷価格が、今年4月には50ドル前後と、実に半値近くにまで下落しているというから、事態は深刻だ。
供給過剰で消耗戦 赤字に喘ぐ台湾勢 韓国勢は有機ELへ
消耗戦にいや応なく巻き込まれたかたちの韓国、台湾勢は、相次いで液晶工場の生産ラインの停止や売却を進めている。
サムスンディスプレイは天安の工場を中国企業に売却、LGディスプレイは亀尾の3世代と4世代の液晶生産ラインの停止を検討しているほか、5世代以上の液晶ラインの有機ELラインへの転換を進めている(下図参照)。
BOEが製造する液晶パネルの納入先で、最も数量が多いのはサムスンであり、2番手はLGだ。韓国勢は液晶での中国との消耗戦を避け、今後スマートフォン用をはじめとした小型の有機ELパネルに、より傾注していく戦略だ。