新天地の会議には、3つの特徴がありました。まずは、議題が1つに絞られていることです。前職では議論している間に、あれもこれもで、その場で議題がどんどん増えていき、下手をすると会議の時間が2時間を超えてしまうようなことも日常茶飯事でした。

 ところが今度の会社では、本来の議題の結論が出れば、そこで終わり、議題があちらこちらに散らかることがないのです。

 2つ目は、議案者がきちんと準備しておくことです。何を決めたいのか、何を議論してほしいのかを明確にして、それに沿ったアジェンダを作成していました。アジェンダというのは、会議の議題や目的、参加者、時間配分やゴールなどをまとめた簡単な議事進行表のことです。

 前職でも簡単なアジェンダがある場合もありましたが、転職先では3つの案から1つに決めるのか、1つであれば、それでいいのかの確認、もしくは承認する仕組みになっているので目的が明確になり、ものすごく短時間で済むのです。

 もちろん、議案者にはアジェンダ作成の時間がかかりますが、その何倍も参加者の時間をムダにせずに済むようになります。

 そして3つ目は、会議の参加者が絞られていたことです。前の会社ではやたらに会議の参加者が多く、聞いているだけで一言も発言しないような参加者も散見されましたが、こちらではそういう人はいません。最初からコアメンバーに絞ってあって、必要に応じて議事録を翌日には開示して、会議の内容が端的に共有できるようになっていたのです。

 会議時間が圧倒的に短くなったために、自分の時間は増えましたし、残業も半分以下になりました。それで年収も増えたのですから、A山さんはいい転職だったとほくそ笑んでいます。

【ポイント】踊らない会議の「三原則」(議題・準備・参加者)を守る

第16回に続く(6/29公開予定です)