地元の高知人がいつも使う方言をキャッチコピー化することで、「高知県人を注目」させたのであれば、地元地域の消費量に大いに貢献することになり、ビール会社として戦略上大きな意味を持つ。

 なぜなら、高知県はビール会社にとって重要マーケットだからだ。
 1世帯あたり飲酒費用の統計をあらわす総務省家計調査の都道府県別飲酒費用ランキングで、高知県は全国第1位の実績がある。

 高知県は、なんと全国平均の約2.2倍だ(出典:都道府県別統計とランキングで見る県民性サイト/「家計調査」総務省統計局)。

 1人の高知県人“呑んべえ”の目を惹くキャッチコピーを考えること、これは戦略上極めて重要であり、全力で考えなければならない。

 また一方、方言をコピー化したことで私のような高知県を訪れたビジター客の「県外人を注目」させたのであれば、ビジター客の目を惹くキャッチコピーとしての大役を果たしたと言える。

「どげんかせんといかん」を使った元宮崎県知事も、同じ手法で「県内人」と「県外人」から注目を集めることに成功している。

 高知県の話に戻す。

 そうそう、普段はアサヒスーパードライを飲む私は、その宴席時に思わず、「『たっすいがは、いかん!』をもう1杯!」と言って、キリンビールをオーダー。

 まんまと、キャッチコピーに乗せられてしまった(笑)。

[監修者・解説者]
神田昌典
(Masanori Kanda)
経営コンサルタント。株式会社ALMACREATIONS代表取締役。日本最大級の読書会「リード・フォー・アクション」発起人。上智大学外国語学部卒。ニューヨーク大学経済学修士、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士。外務省経済局、そしてイノベーション企業として名高い米国ワールプール社の日本支社長を務めた後、1998年、経営コンサルタントとして独立。コンサルティング業界を革新した顧客獲得実践会を創設(現在「次世代ビジネス実践会」)。『GQ JAPAN』(2007年11月号)では、「日本のトップマーケター」に選出。2012年、アマゾン年間ビジネス書売上ランキング第1位。現在、教育分野においても精力的に活動し、特定非営利活動法人KNOWS、公益財団法人・日本生涯学習協議会の理事を務める。著書に、『稼ぐ言葉の法則』『ストーリー思考』『全脳思考』『60分間・企業ダントツ化プロジェクト』『あなたの会社が90日で儲かる!』『非常識な成功法則【新装版】』『口コミ伝染病』『成功者の告白』『2022──これから10年、活躍できる人の条件』『不変のマーケティング』『禁断のセールスコピーライティング』、監訳書に、『ザ・コピーライティング』『伝説のコピーライティング実践バイブル』『ザ・マーケティング【基本篇】』『ザ・マーケティング【実践篇】』などベスト&ロングセラー多数。

 


[著者]
横田伊佐男
(Isao Yokota)
CRMダイレクト株式会社代表取締役。シティグループ、ベネッセグループにて、一貫してマーケティングに従事。ダイレクトマーケティング、データベースマーケティング、コンサルティング部門の責任者を歴任。約6000商品のプロモーション経験、大手企業100社超のコンサルティング経験を体系化し、2008年に独立。人が動く戦略は「紙1枚」にまとまっているという法則を発見し、「ポケットに入る戦略」こそが、行動から成果につながる戦略であることを突き止める。「使えなきゃ意味がない」を信条に、使えて成果につながる戦略立案を徹底的にたたき込む日本唯一のプロフェッショナル・マーケティングコーチ。企業や受講者の課題点をすばやく摘出し、短時間で確実な成果へと引き上げる「超訳力」を駆使したマーケティング研修講座は、上場企業ホールディングス、政府系金融機関、欧州トップの外資系金融企業、意欲ある中小企業経営者等からの依頼が絶えず、これまでの受講者はのべ2万人を数える。神田昌典氏主催「マーケティング白熱会議」では、ゲストスピーカーとして、読破まで数ヵ月を要する2000ページに及ぶ大著を60分で「超訳」講義。受講者には、赤字会社を1年で黒字化する経営者、他を圧倒し昇格するビジネスパーソンが続出するなど、成果から逆算した育成プログラムを提供中。ダイレクトマーケティングフェア、CRMカンファレンスなど講演多数。著書に、『一流の人はなぜ、A3ノートを使うのか?』(学研パブリッシング)、『ケースブック価値共創とマーケティング論』(分担執筆、同文舘出版)がある。
横浜国立大学大学院博士課程前期経営学(MBA)修了。横浜国立大学成長戦略研究センター研究員。
【CRMダイレクトHP】
http://www.crm-direct.com/