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米国のドローン最終規制が
関係者に好評な理由

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第395回】 2016年6月24日
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 ただし、アマゾンやグーグル、ウォルマートなどが盛んにアピールしていたドローンによる配達は、この規制では認められないことになる。数十マイル先にまで飛んでいく配達ドローンは、目視範囲から外れてしまうからだ。

 これも、いずれ利用が認められるのではないかと、業界は楽観的だ。今回の規制によってドローンが多く飛行するようになり、それによって安全性や確実性が増せば、当局も納得するだろうというわけだ。

プライバシー規定は含まれず

 しかし、規制で改良されていないのは、やはりプライバシー問題である。FAAは、免許証をとる過程でプライバシーの基礎を学習できるように仕向けるというが、ここにははっきりした規制が不在だ。そもそもFAAは、飛行の安全を確保することが目的で、プライバシーの権利について踏み込んだ動きには出ようとはしていない。プライバシーについては、電気通信情報局が発行した『プライバシーのベスト・プラクティス』を参照するよう勧めるだけだ。

 プライバシー関係団体は、この規制ではストーカーや覗き見趣味、また盗聴目的のドローン飛行を阻止できないと声を上げている。最近の高性能カメラやセンサーをもってすれば、かなり遠くからでも写真やビデオで人の動きを捉えることができるだろう。まともな商用利用から離れた飛行を「違法」として法的に判断できる基盤が必要だ。

 ただし、こうしたことはたとえ規制があっても違反をする行為が必ず出てくるものだ。プライバシーの面では、また警戒すべきことが増えたと確認する以外にないのだ。

 規制は今年8月末に施行される。ドローン産業の隆盛と共に、プライバシー保護も新たな挑戦を迎えることになる。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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