学歴の有無と人生の満足度を
別の軸で考えるアメリカ人

低学歴でも幸せな米国人と、高学歴でも不幸せな日本人の格差加藤 諦三(かとう・たいぞう)
1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科修士課程を修了。1977年、早稲田大学理工学部教授に就任。専門分野は精神衛生、心理学。1973年以来、ハーヴァード大学准研究員を務める。現在、早稲田大学名誉教授。ハーヴァード大学ライシャウアー研究所客員研究員、ニッポン放送系ラジオ番組『テレフォン人生相談』レギュラーパーソナリティ。『「自分の働き方」に気づく心理学』 (青春出版社)、『劣等感がなくなる方法』(大和書房)、『人生は「捉え方」しだい 同じ体験で楽しむ人、苦しむ人』(毎日新聞出版)、『心の資産を高める生き方』『自分の人生を生きられないという病』(KKベストセラーズ)、『心が強い人 少し弱い人』(三笠書房)など著書多数。ホームページ>http://www.katotaizo.com/

筆者 では、学歴と職業との関係は、どのようになっているのでしょうか。

加藤 同じく、2005年のギャラップの調査に載っている2002年から2005年までの集計では、学歴と職業の相関関係は歴然としていることがわかります。

 プロフェッショナル/エグゼクティブ(Professional/Executive)は、「高校以下の学歴」で20%、「大学教育を途中で止めた人」は34%、「大学卒業」では55%、「大学院卒」で79%です。

 一方、ブルーカラーでは、「高校以下の学歴」で43%、「大学教育を途中で止めた人」は44%、「大学卒業」は37%、大学院卒で17%です。学歴が高くなるのに従い、ブルーカラーは少なくなっています。

「時間給、給料」のいずれの報酬体系で働いているかを、質問した結果もあります。「時間給」と答えたのは、先の順番で言えば68%、55%、33%、13%。学歴が上がるに従って減っていきます。一方で、「給料」と答えた人は同24%、29%、55%、77%。学歴が上がるにしたがって増えています。 

筆者 「時間給」や「給料」といった報酬体系と所得の関係はどうなっているのでしょうか。

加藤 その関係もはっきりしているのです。所得が3万ドル以下の人では、給料の人が19%、3万ドルから7万5000ドルの人では37%、7万5000ドル以上の人では61%。この所得の順序で、時間給の人は74%、52%、25%と割合が減っていきます。

 アメリカでは、職業や所得と学歴の関係は歴然としているのです。それでも、日本のように「学歴、学歴」とは騒がない。大学受験のために高校生活を犠牲にすることもありません。問題は、「学歴社会」という事実に対する人々の解釈の仕方なのです。

 1982年のギャラップの世論調査では、「あなたの子どもとの関係」や「結婚」についても調べています。「あなたの子どもとの関係」で言えば、「大変満足している」と答える人の割合は学歴とは無関係で、「中学校卒業」で80%、「高校卒業」で79%、「大学卒業」で81%となっています。

「結婚」について「大変満足している」と答えた人の割合は、「中学校卒業」で81%、「高校卒業」で77%、「大学卒業」で81%。いずれも、学歴とは関係がありません。

 家庭での人間関係などがうまくいくかいかないかは、学歴ではなく、やはり個人の人柄なのです。他の調査結果を見ても、アメリカには「満足にあまり格差はない」と言えるのです。