しかし、問題はそのKも実は労働の産物だから、結局、どの程度のKとどの程度のLで生産をすべきかが決まる。このことをミクロで表現すると、最適な資本労働比率(K/L比)がある、ということとなる。

 このため、最適なK/L比を求めて経済は長期に成長することとなるが、これは逆にいうと、その時点で「最適」な1人当たり国民所得(Y/L比)が決まることとなる。つまり、何のことはない。途上国が成長する一方で先進国が低成長(ないしゼロ成長)なのは、すでにその時点に先進国が達しているからである。成長率の長期的低下は経済の自然な流れなのである。

 なお、この計算を詳細に分析するために、以上の生産関数の推計はこのモデルでは、資本財生産部門と消費財生産部門に分けてなされている。この生産関数推計で計算された各種のパラメーター(上記の式ではA,α、βに相当するもの)によって、初めて1人当たり資本ストックの長期均衡値が計算できるからである。

 ところで、このような2部門モデルによる計算が重要な理由のひとつに、マクロの総労働と総資本ストックのそれぞれが「ターゲット」においてどのような配分比率とならなければならないかの計算ができるということもある。このため、「ターゲット」における1人当たり資本ストックを、さらにまた総資本ストックおよび総労働の2部門への配分比率を2009年現在の数字と比較して次の図表2表のようにまとめた。

◆図表2 計算された「ターゲット」時点の中国経済の姿と現在との対比

中国経済は2033年にゼロ成長に陥る

 図表2は来たるべき「ターゲット」時点での中国経済が、「現在」からどれほど違ったものでなければならないかを示している。1人当たり資本ストックの蓄積水準が、現在とは相当に違ったレベルとなることが示されていると同時に、投資主導の経済といわれるように、投資財部門にあまりに偏った現在の産業構造が、根本的に転換されなければならないことを示しているからである。